テスト vs. 実生活。立ち上がり能力の関連性は?
📖 文献情報 と 抄録和訳
60~90歳成人における腿装着型加速度計を用いた座位から立位までの能力と自由生活能力の関連性
[背景・目的] 5回立ち上がりテストは、下肢機能能力の臨床評価として一般的に用いられているが、自由生活能力との関連は研究されていない。そこで我々は、加速度計を用いて、検査室ベースのSTS能力(テスト能力)と自由生活でのSTS能力(生活能力)との関連を調査した。結果は年齢と機能的能力群によって層別化した。
[方法] この横断研究は、3つの独立した研究による60~90歳の497人(63%が女性)を対象とした。大腿部に装着した3軸加速度計を用いて、実験室ベースの最大STSテスト能力および3~7日間の連続モニタリングによる自由生活STS生活能力における角速度を推定した。身体機能は、短い身体能力バッテリー(SPPB)を用いて評価した。
[結果]
◼︎全般的なテスト能力と生活能力の関連性
・実験室ベースのSTSテスト能力は、自由行動時の平均STS生活能力および最大STS生活能力と中等度の関連を示した(r = 0.52-0.65、P < 0.01)。
・全体として、角速度は、自由生活STSのパフォーマンスと比較して、能力で高かった。
◼︎立ち上がり能力と年齢の関連
・角速度は、テスト能力および生活能力変数の両方において、若年群と比較して高齢群で低かった(すべてP < 0.05)。
・STS予備能(テスト能力-最大生活能力)は、若年群と比較して高齢群で小さかった
◼︎立ち上がり能力と身体機能の関連
・各速度は、低機能群と高機能群で低かった(すべてP < 0.05)。
・STS予備能(テスト能力-最大生活能力)は、高機能群と比較して低機能群で小さかった
[結論] 検査ベースのSTSテスト能力と生活能力は関連していた。しかし、高齢で低機能の人は、若年で高機能の人と比較して、最大能力の高い割合で自由生活STS動作を行うようであった。従って、能力の低さが自由行動時のパフォーマンスを制限している可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
人から見られているとき、
練習して動作に集中しているとき、
試験などで計測しているとき、
普段の生活における動作とはパフォーマンスが異なる。
その日常生活における動作の改善が、リハビリテーションにおける最終到達点に規定されるべきだろう。
すなわち、試験だって、その日常生活における変化を追えるものであるべき、となる。
だが、果たして、どのくらいそうなのだろうか?
今回の研究では、立ち上がりにおいてその関連性を探っていた。
結果としては、概ね関連はするが、年齢や身体機能によって相補的な関連性を示した。
年齢が高く、身体機能が低いほど、その人の持つ最大能力値に近いレベルで生活しているらしい。
その状態での生活は、大変なものだろうと推察された。
これまでよりも少しだけ、患者さんの立場に近づけたような気がする。
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