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動作中の足底腱膜


📖 文献情報 と 抄録和訳

解剖学的に詳細な足底腱膜の形態を取り入れた複数のマーカーを用いた足部モデルを使用して、動的動作中の足底腱膜の経路と機械的挙動を推定する

📕Matsumoto, Yuka, Naohiko Kanemura, and Naomichi Ogihara. "Estimating the paths and mechanical behaviors of the plantar aponeurosis during dynamic movements using a multiple-marker foot model incorporating anatomically-detailed plantar aponeurosis morphology." Gait & Posture (2025). https://doi.org/10.1016/j.gaitpost.2025.01.007
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[背景・目的] 足底腱膜(PA)の運動中の挙動を推定するために、いくつかの足部モデルが開発されてきた。しかし、これらのモデルは実際のPAの経路を考慮しておらず、運動中のPAの直接測定が行われていないため、その妥当性は十分に検証されていない。研究課題:実際のPAの経路を考慮した足部モデルを開発することで、運動中のPAの挙動推定の精度が向上するか?

[方法] 足部モデルは、20個のマーカーを取り付けた6足のCTスキャンを基に開発された。20個のマーカーと21個の足部ランドマークの平均位置を計算することで、平均的な足部モデルが作成された。マーカーの位置を基に、モーションキャプチャされた足部に平均的な足部モデルを歪ませ、薄板スプライン関数を使用して、被験者固有の足部モデルを作成した。動作中の足部アーチの挙動を推定するために、足部アーチの各ランドマークを隣接する局所座標系で表現し、実験室座標系における足部アーチのランドマークの位置の時間変化を計算した。

[結果] 解剖学的に詳細な足部アーチ形態を組み込んだ足部モデルは、従来の足部モデルよりも足部アーチの軌道と長さをより正確に推定した。歩行とドロップジャンプ中の足部アーチの動的挙動も正確に推定された。

■ 歩行中の足底腱膜の長さ
・従来のPAモデルは、踵接地後にすべてのPAが概ね伸張し、プッシュオフ期に短縮すると推定した。
・今回のPAモデルは、内側PAがミッドスタンス期に短縮し、踵離地後に再び伸張して2番目のピークに達すると推定した。

■ ジャンプ中の足底腱膜の長さ
・両方のモデルは、足が地面に着いた後にすべてのPAが概ね伸び、重心が最も低くなる頃に長さがピークに達し、つま先が離れるまで短くなることを推定した。

[結論] 足部モデルに解剖学的に詳細な前足部形態を組み込むことで、前足部の軌道および長さの推定精度が向上する。開発された解剖学的に詳細な前足部モデルは、足底筋膜炎などの足部障害の基礎となる前足部の機能、機械的影響、病態メカニズムを解明する有用なツールとなる可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「足の裏が痛いんですよ。特に歩き出しの時に痛くて・・・。最初にグッと体重がかかった時というか」

こんな訴えを聞いたことがある。
それに対して、僕はこう思っていた。

(足底腱膜炎かもしれないな。だけど、足底腱膜炎だとするとむしろ立脚終期に強く伸張される[ウィンドラス機構]はずなんだけどな・・・)

今回、新しい方法で動作中の足底腱膜の動態に迫った研究を読み、この考えを改めざるを得ないと感じた。
歩行中の足底腱膜の長さをみると、立脚初期に最初のピークを迎える場合が多かったのだ。
確かに、体重がかかった瞬間に足部は回内を強め、内側縦アーチが低下することで足底腱膜は伸張しそうだ。

やはり、事前から理論的に決めつけることは良くない。
なぜなら、人間が想定できる、イメージできる範囲には限界があるし、それは既存の知識から構成されたものであることがほとんどだからだ。
だからこそ、まずは現実を観察的、客観的に見て現実を知る。
その上で、その現実に対して理論的な解釈を試みる、という順番が本当なのだ。
理論が先ではなくて、現実が先。改めて胸に刻みたい。

すべて世間の事柄は、きみの欲するままに起これよ、と望んではならない
むしろ世に起こることは、その起こるがままに起これ、と願うがよい
そうすればきみは幸福であろう

ヒルティ

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