心肺フィットネスは死亡, 疾患リスクの予測因子
📖 文献情報 と 抄録和訳
心肺フィットネスは成人における罹患率と死亡率の一貫した強力な予測因子である:199のユニークなコホート研究から得られた2,090万件以上の観察結果に基づくメタアナリシスの概要
[背景・目的] ベースラインの心肺フィットネス(Cardiorespiratory fitness, CRF)と成人における健康アウトカムとの予測的関連を評価したコホート研究のメタアナリシスから得られたエビデンスを検討し、要約すること。
[方法] デザイン:システマティックレビューとメタアナリシス。データ源:2002年1月~2024年3月に5つの文献データベースを検索。
[結果] 同定された9062件の論文から、26件のシステマティックレビューを対象とした。一般集団における5つの死亡転帰を記述した8つのメタアナリシスを発見した。
■ 心肺フィットネス×死亡リスク
・CRFは、高CRFと低CRFを比較した場合、全死亡のリスクを最も減少させた(HR=0.47;95%CI 0.39~0.56)。
・CRFのレベルが1-metabolic equivalent of task(MET)高くなるごとに、全死因死亡率が11~17%低下するという用量反応関係がみられた(HR=0.89;95%CI 0.86~0.92、HR=0.83;95%CI 0.78~0.88)。
■ 心肺フィットネス×疾患リスク
・疾患リスクについては、9つのメタアナリシスで12のユニークなアウトカムが報告された。
・CRFは、高CRFと低CRFを比較した場合、心不全発症の最大のリスク減少と関連していた(HR=0.31;95%CI 0.19〜0.49)。
・CRFが1MET高くなるごとに、心不全が18%減少するという用量反応関係がみられた(HR=0.82;95%CI 0.79〜0.84)。
慢性疾患を有する患者では、9つのメタアナリシスで9つの患者群における4つのユニークな転帰が報告された。CRFは、高CRFと低CRFを比較した場合、心血管疾患患者における心血管死亡率の最大のリスク低下と関連していた(HR=0.27;95%CI 0.16~0.48)。すべての研究におけるエビデンスの確実性は、Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluationsによると、非常に低いものから中等度のものまでの範囲であった。
[結論] 我々は、一般集団および臨床集団において、CRFが高いことが様々な死亡率および慢性疾患の発症リスクの低下と強く関連するという一貫した証拠を発見した。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
「心肺フィットネス」という単語が提示されたときに、分かるような、分からないような、という感覚だった。
だからこそ、あまり文献抄読はしたい気持ちにはならなかった。
なぜなら、それを文献抄読しようとした場合、たくさんの勉強量が必要だから。
だけれども、そもそも勉強とは、知らないものを知り、自分を拡大していく営みではないか?
だとすれば、自分が知らないものこそ、面白そうなものとして、ダイブして、勉強して、血肉にしていくべきではないか。
すでに知っているもの示す、というスタンスでは望める生長量は小さい。
未知に拒否反応が出るのは、それがコストだからだ、面倒だからだ。
今回、チャリティ原則にのっとり勇猛果敢に攻め入った結果、『心肺フィットネス』について、しっかり理解できたし、何より、この論文がとても重要だということを学べた。
心肺フィットネスは、ただ即時的なものではなく、今まで積み重ねてきたものが、結果として「全身持久力」として示された数値だ。
だからこそ、真の実力が出るというか、即時的な誤魔化しはきかない数値とも思える。
その心肺フィットネスが死亡リスクや疾患リスクの強力な予測因子であった。
一夜漬けの、急激な効果ではなく、コツコツと積み上げられた真の効果。
心肺フィットネスを高めることは、1つの重要な的であると思った。
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