大腿骨近位部骨折患者おける歩行自立の臨床予測ルールの開発 & 検証Ⅱ
📖 文献情報 と 抄録和訳
大腿骨近位部骨折手術後の歩行回復予測における「大腿骨近位部骨折短期歩行予測ツール」の使用
[背景・目的] 脆弱性股関節骨折手術後の3か月間の歩行回復を予測するモデルを開発する。
[方法] 研究デザイン:横断的研究。対象:手術的治療を受け、3か月間の経過観察を完了した50歳以上の脆弱性股関節骨折患者。方法:適格患者から潜在的な予測因子を収集し、受傷後3ヶ月の歩行能力は修正機能的歩行分類を用いて評価した。これらの因子を用いて、2つのモデル(術後の歩行能力(屋内歩行自立以上の自立度か)を予測するモデル1、受傷前の状態への回復を予測するモデル2)から成る「大腿骨近位部骨折短期歩行能力予測」を開発した。
[結果] 275人の患者のうち、55人(20.0%)が良好な歩行能力を獲得し、59人(21.5%)が受傷前の状態に回復した。年齢、受傷前の歩行能力の状態、退院時の歩行能力の状態が、術後3ヶ月の歩行能力の重要な予測因子であることが確認された。提示されたツール(モデル1および2)は、優れたパフォーマンス(それぞれ曲線下面積0.86および0.85)を示し、ブートストラップ解析における内的妥当性も良好であった。また、キャリブレーションプロットは、予測確率と観測確率の優れた一致を示した。
[結論] 年齢、病前の歩行能力、退院時の歩行能力は、脆弱性股関節骨折手術後3ヶ月時点での術後の歩行および受傷前の状態からの回復を有意に予測する。提示されたツールは、この重要な期間に的を絞ったリハビリテーション介入から恩恵を受ける可能性のある患者を特定する上で、臨床医を支援する可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
最近、我々の研究グループでは「高齢の大腿骨近位部骨折患者おける歩行自立の臨床予測ルールの開発 & 検証」という論文をPublishした。
今回の抄読研究は、ほぼ同じテーマでの論文だが、そのアウトカムが大きく異なる。
我々の研究においては、アウトカムは退院時点での歩行自立度であったが、今回の抄読研究は3ヶ月後の歩行能力というやや長期的な歩行能力の予測であった。
その予測因子は、年齢、病前の歩行能力、退院時の歩行能力という3つだった。
我々の研究と比較すると、年齢は共通しており、アウトカムの時期を問わず、年齢は重要な因子なのだろうと感じた。
また、病前の歩行能力に関しては、我々の研究では調査していないところだったので、改めて重要性を認識した。
印象としては、病前の歩行能力、退院時の歩行能力という2点を観測することで、未来に向かい線が引きやすくなる、というような印象だった。
ただ、予測モデルの使い方として、やはり1時点の計測結果から未来を予測できた方が、使い勝手が良い。
そんな予測モデルの構築をしていきたい・・・。
現実は重い荷を背負って坂道を登るが如くであるが、まあ、頑張ろう。
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