脳のこびと、身体のこびと。下位運動ニューロンのホムンクルス
📖 文献情報 と 抄録和訳
下位運動ニューロンホムンクルス
■ これまでのホムンクルスの問題①〜③
①脳の複雑さを示しきれていない:この図は、脳の表現が「機能的エングラム」よりもむしろ直接的な運動神経支配に関係していることを示唆しており、ローランド溝における前中心回と後中心回との境界は、可変で重複し不連続というよりも明確であり、回路は、多数の入力と接続(現在は「コネクタム」と呼ばれている)を伴う複雑さを捉えるよりも、直接的であると概念化されたものだった。
②方法論的な批判:品質管理、組織学、検証、刺激パラメータの透明性、再現性、データ変換、統計、さらにはデータの共有など、運動野のマッピングにおける厳密さの欠如に関わるものであった。最近Rouxらは運動野カートグラフを再マッピングし、改訂した(📕Roux, 2020 >>> doi.)。
③女性の関与:女性の関与や認知、女性の体幹部解剖の研究の欠如など、男性優位の社会的批判が提起されており、Wrightは最近このためにハーミュンクルスを作成した(📕Wright, 2021 >>> doi.)。
■ これまでのホムンクルスの問題④
・運動制御の大脳レベルである皮質運動ニューロンだけを表し、運動システムのうち運動を実行する部分である脊髄運動ニューロンと脳神経運動ニューロンは表さないという不完全なものである、ということ
・上位運動ニューロンは脳脊髄要素からなり、灰白質で終末を迎え、脊髄筋要素からなる下部運動ニューロンに接続する。
・ペンフィールドの運動ホムンクルスは、運動システムの大脳の側面である上位運動ニューロンを擬人化しているが、最終的な共通経路である下位運動ニューロンはそのように表現されたままである。
■ 下位運動ニューロンのホムンクルスの提唱
・この問題を解決するために、私たちは下位運動ニューロンホムンクルスを提示し、上部運動ニューロンとの相対的な比率と違いを強調するために並置して示す
・寸法は、肉眼解剖学と組織学的解剖学の研究から得られたデータに基づいており、舌の省略など、作者(J.S.)の審美的自由が与えられている。
<具体的なホムンクルスの作成方法>
● 身長は最終共通路である脊髄の長さ、体囲は運動ニューロン密度に基づいて計測されている。ホムンクルスは、アーティスト(JK)の審美的な余裕を考慮して、できるだけ実測に近い形で描かれている。
・身長:大脳皮質から仙髄までの運動柱の高さは45cm(脳幹4.5〜6、頚髄10〜13cm、胸髄20〜25cm、腰仙髄5〜8cm)、これをホムンクルスでは全高で表す(全高から腕の長さを引く)。体幹の長さに不釣り合いなことに注意する。
・体囲:α-運動ニューロンは、脳幹と脊髄のRexed lamina IXに列状に積み重なり、舌下核、頸部、胸部、腰部前角に3:3:1:5の相対密度を持つ-これは体節の胴回りとして表現される。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
まず、写真が圧倒的に興味深く、目を引いた。
単なるおふざけ的な論文かと思いきや、かなりしっかりとした議論が展開されており、消化するのにかなりの時間を要してしまった。
その中で、ホムンクルスを巡って、実にさまざまな問題が提起され、新たな実験が行われ、改訂や更新がなされ続けていることを知った。
真にインパクトをもつ1つの研究は、世の中に多くのムーブメントを与えるものだと感じた。
ホムンクルスには、大きく2つある…。
掴みのネタとして大いに役立つことになるだろう。
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