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血液型と疾患リスク。脳梗塞,心筋梗塞,末梢血管疾患


📖 文献情報 と 抄録和訳

血液型と虚血性脳卒中、心筋梗塞、末梢血管疾患: 145,000例以上の症例と2,000,000例以上の対照例のメタアナリシス

📕Lilova, Zornitsa, et al. "Blood group and ischemic stroke, myocardial infarction, and peripheral vascular disease: A meta-analysis of over 145,000 cases and 2,000,000 controls." Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 32.8 (2023): 107215. https://doi.org/10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2023.107215
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🔑 Key points
🔹非O型血液群では脳梗塞、心筋梗塞、末梢血管疾患との関連が高かった。
🔹血液型AとABは脳梗塞、心筋梗塞、末梢血管疾患と最も強い関連を示した。
🔹ABO血液型は、2つの重要な血液凝固蛋白であるvon Willebrand因子とFVIII因子の濃度に影響を及ぼすことにより、心血管疾患の病態生理と関連している。

[背景・目的] 心血管疾患はABO式血液型、特にvon Willebrand因子とFVIII因子のレベルへの影響を通じて関連している。我々は、血液型と虚血性脳卒中、心筋梗塞、末梢血管疾患との関連を包括的に調べるためにメタ解析を行った。

[方法] 血液型と脳梗塞、心筋梗塞、末梢血管疾患について包括的なメタ解析を行った。オッズ比(odds ratio, OR)を用いて血液型と疾患の関係を評価した。結果の統計解析にはRevMan v5,4を用いた。バイアスのリスクはNewcastle-Ottawa scaleを用いて評価した。

[結果] 合計72件の研究(脳梗塞18件、心筋梗塞37件、末梢血管疾患17件)が検索基準を満たし、症例数は145,499例、対照数は2,113,736例であった。平均年齢は18〜90歳であった。

■ 脳梗塞と血液型
・脳梗塞のリスクは、血液型O群と比較して非O群の患者で有意に増加し(OR=1.13, 95%CI: 1.07-1.21, P < 0.001)、研究間の異質性は中程度であった(I2 = 54.0%, P < 0.01)。
・血液型-Aは血液型-Oに比べて脳梗塞が統計的に有意に増加した(OR=1.19、95%CI:1.07-1.32、P=0.001)。
・血液型ABは血液型Oと比較して脳梗塞が統計学的に有意に増加した(OR=1.24、95%CI:1.04-1.48、P=0.01)。
・血液型-BまたはOの間では、脳梗塞に統計学的有意差はなかった(OR=1.03、95%CI:0.93-1.14、P=0.54)。

■ 心筋梗塞と血液型
・血液型Oと比較して非O血液型の患者で有意に上昇し(OR=1.17、95%CI:1.11-1.24、P<0.001)、研究間の異質性は中程度であった(I2=62.8%、P<0.01)
・血液型-Aは血液型-Oと比較して心筋梗塞が統計的に有意に増加した(OR=1.22、95%CI:1.12-1.33、P < 0.001)。
・血液型ABは血液型Oと比較して心筋梗塞が統計学的に有意に増加した(OR=1.20、95%CI:1.09-1.31、P<0.001)。
・さらに、血液型-BまたはOでは心筋梗塞に統計学的有意差がみられた(OR=1.09、95%CI:1.02-1.17、P=0.01)。

■ 末梢血管疾患と血液型
・末梢血管疾患のリスクは、血液型Oと比較して非O血液型の患者で有意に増加し(OR=1.15、95%CI:1.04-1.28、P=0.005)、研究間の異質性が高かった(I2=88.6%、P<0.01)。
・血液型Aでは血液型Oに比べて末梢血管疾患が統計的に有意に増加した(OR=1.15、95%CI:1.01-1.30、P=0.03)。
・しかし、血液型-BまたはABと血液型-Oとの間には、末梢血管疾患に統計学的有意差はなかった(それぞれOR=1.07、95%CI:0.98-1.17、P=0.12;OR=1.14、95%CI:0.96-1.35、P=0.13)。

[結論] 血液型O群と比較して、A群とAB群は脳梗塞、心筋梗塞、末梢血管疾患と強く関連している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「あなたの血液型って〇〇でしょう?」

血液型と性格、これは日常的にしばしば話題にあがる。
ちなみに、僕はB型(両親ともにB型)なのだが、ズバリ当てられることが多い。

「やっぱりね〜」

と言われたとき、どのような反応をするのが正解なのか、いまだに分からない。
「こだわりが強い、自己中」→この点から見るとガッカリした方がいいのか。
「好奇心旺盛、はっきり主張、イチロー、大谷翔平、羽生結弦はB型」→この点から見ると喜んだ方がいいのか。
・・・、永遠の課題である。

ところで、疾患リスクという側面からは、やや喜んでいいのかもしれない。
今回の抄読研究によれば、O型とB型はその他血液型よりやや疾患リスクが低いらしい。
『えっ、血液型と疾患リスク?』と最初思ったが、よくよく考えれば、血液型とは赤血球の表面にある抗原によって決まる血液自体の特性の1つであるのだから、脳卒中や心筋梗塞、末梢血管疾患といった血液絡みの疾患リスクとの関連は気になるところだ。
むしろ、性格なんかより随分距離は近そうだ。
そして、今回の結果を受けて、O型やB型は慢心することなく、A型やAB型はより生活習慣に厳格になった方が良いのだろう。
非常に興味深い研究と感じた。

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