腓腹筋のモーターポイント
📖 文献情報 と 抄録和訳
下腿筋のモーターポイントヒートマップ
[背景・目的] 神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation, NMES)による下腿部の筋収縮は、静脈血栓塞栓症の予防、リハビリテーション、筋力トレーニングの最適化など、様々な用途に使用できる。しかし、最適でない刺激点を使用することにより、不快感や効果の低さが生じ、NMES治療へのコンプライアンスが制限される。筋運動点(muscle motor points, MP)を最も見つけやすい場所を知ることで、NMESの快適性とコンプライアンスを向上させることができるかもしれない。目的:下腿部のMPを解剖学的にマッピングし、下腿部でMPが見つかる確率を計算すること。
[方法] 健康な被験者30名(平均年齢37歳)に対して、下肢の解剖学的ランドマークを定義した。MPサーチペンと3Hz連続刺激(サーチ範囲:4.0~17.5mA)のMPサーチプログラムを用いて、腓腹筋の内側および外側頭部にある最も反応する4つのMPの位置をこれらの解剖学的ランドマークとの関連で決定した。ふくらはぎの解剖学的構造を正規化し、これらの領域のいずれかにMPが見つかる確率を計算するために、上部内側から下部外側まで、48(6×8)の小さな領域(3×3cm)の行列に細分化された。そして、各領域でMPが見つかる確率を計算し、95%信頼区間とともに提示した。
[結果] MPヒートマップでは、下腿の近位中央と中心やや外側でMPの濃度が高いことが示された。しかし、MPの位置には大きな個人差があった。MPが見つかる確率が最も高かったのは、中央と内側に位置する第4領域と、中央と最大外周に位置する第29領域で、いずれも50%の確率であった(95%CI:0.31-0.69)。次にMPが見つかる確率が高いのは、近位と内側にある領域9、10、16で、いずれも47%の確率(95%CI: 0.28-0.66)であった。これらのエリア4、9、10、16、29は、平均確率が27%以下と全エリアより有意に高い運動点を見つける確率を示した(p < 0.05) 側方および遠位外周は、MPを見つける確率がほぼゼロであることを示した。
[結論] このふくらはぎのMPヒートマップは、電極配置の迅速化、およびNMES治療の一貫した、より高い結果を得るためのコンプライアンス改善に使用できる可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
研究は、臨床的意義というものが重要で、つまりその研究がどのように役立つか、が注視される。
その意義の種類にもいろいろあって、その後の研究につながる概念提案的なものもあれば、果実のように即取って即食べられるような超実践型の意義もある。
その意味で、今回の研究は『超実践型』の研究だと思う。
臨床でNMESをする機会は多いが、案外苦慮するのはモーターポイント探し。
そもそも、はっきりした場所が分かりにくいことに加え、個人差もあるから厄介なのだ。
今回の研究は、まずそこを原点として探すべし、という二ヶ所を教えてくれた。
『近位中央』『中心やや外側』。
次回から、腓腹筋へのNMESの際には、この二ヶ所を原点として探してみる。
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