📖 文献情報 と 抄録和訳
理学療法士はいかにして診断医になったか:アメリカの歴史
■ 米国における理学療法士独立前夜
・1927年のアメリカ理学療法協会の第6回年次大会
・メアリー・マクミランが腰の症状について招待講演をしようとしていた
・講演が始まる前に、マクミランは次のような免責事項を述べた。
■ 米国における理学療法士独立の軌跡
1954:米国理学療法士協会(American Physical Therapy Association:APTA)は、1954年に独自の標準化された能力試験を開発
1957:理学療法へのダイレクトアクセスが、1957年にネブラスカ州で初めて確立された(20年後,同様のダイレクトアクセスを持つ州は他に2つしかなかった…)
■ 感動した文章
・マーティン・H・フィッシャー(Martin H. Fischer)は、「診断は終わりではなく、診療の始まりである」と言ったことで広く知られ ている。
・もしそれが本当なら、診断医としての理学療法士の役割は終わりではない。まだ始まったばかりである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
この記録が僕のEvernoteに2015年に残されている。
8年前か。
この半田会長の話を聞いて、ぼくはリンカーンを想起した。
「失われた演説」というものがある。
奴隷解放を訴えたリンカーンの演説だが、記者が聞き入りすぎて、誰一人記録することがなく、文字通り「失われた」演説である。
あの時の半田会長の言葉は、ぼくの心に強く迫ったと思う。
リンカーンと同じく、少しもことばをかざらず、ただ情理をつくして、一句一句、心に確信を叩き込んでいった。
あれから、いやそれ以前からだとは思うのだが、『自分の頭で考え、自分で判断し、自分の責任をもって、自分の足で歩いていく』こととは何か、そのためにはどのようなことが必要なのか?、を考えてきたし、いまも考え続けている。
今回の抄読論文は、その大いなる参考資料となるだろう。
アメリカにおいて、理学療法士がどのように独立してきたか、その軌跡が丁寧に記録されていた。
1927年のMary McMillanの言葉なんてまさに、理学療法士が日本の医療制度の中で医師に対して抱きがちな内心ではないかと思う。
この言葉を、しばしば聞くし、目にもする。
これは、日本の医療制度の中で育まれた精神の1つだろうと感じている。
病態の推察、診断は医師に任せよ。
理学療法士は医師の診断のもと、処方された理学療法を『実行』せよ。
だが、それって現実に可能なことだろうか、望ましいことだろうか。
例えば、理学療法の評価である「筋力」を評価しているとき。
「大腿四頭筋の収縮が全く入らない。筋萎縮も著明だ。受傷起点と画像の状況から考えると、末梢神経障害(断裂)もありえる…?」
そんな風に、理学療法を実施しようとすれば、そこに病態へのアクセスは、リンクは、必ずある。
そのアクセスは、川が海とリンクしているように、途切れようのない、自動的な流れが。
現時点では、それを表出しているか、していないか、という問題だ、多分。
どうしたって、機能レベルの評価が、病態仮説とリンクしていないことが、望ましいとは思われない。
だから、現時点の制度の中で、表出の仕方は考える必要があるけれども、『自分の頭で考え、自分で判断し、自分の責任をもって、自分の足で歩いていく』ということの中には、病態的な診断への思考アクセスやミクロな判断は含まれる、含まれざるを得ない、と思っている。
僕らは楽曲をつくらないシンガーであるべきではない。
楽曲を創造しながら、すべて思いを乗せて熱唱するシンガーソングライターにならなくては、と。
それにしても、なぜ “米国では” 理学療法士が独立したのだろうか。
その部分は、より進んだ調査、情報、分析が必要になる。
今回の論文を読んで思った1つの鍵は「合衆国制度」だ。
米国だって、一度に独立したわけではないことを知った。
1-2の州から独立が試され、それが合衆国全体に広がっていった。
合衆国制度の強みは、「試験的な制度を州単位で実施できる」ということがあるのだなと思った。
言い方が不適切かもしれないが、国全体のパイロット試験が、州でできるイメージだ。
1つの国である日本では、そうはいかない。
オセロの裏と表のように、はっきりと二分されていて、グラデーション的な変化が生まれにくいということがあるのかもしれない。
何にせよ、国としての土壌がまったく異なる日米である。
米国の模倣をするのではなく、その崇高な精神の方向性を北極星のように刻み、僕たちの道を歩みたい。
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