足と手の触知覚の違い
📖 文献情報 と 抄録和訳
足裏の感触:歩行、座位、手との比較
[背景・目的] 私たちは、足や手でテクスチャのある表面と頻繁に接触する。 テクスチャの把握における重要性と同様に、足の裏から得られるテクスチャの知覚は、表面の安定性に関する重要なシグナルを提供し、バランス維持を助ける可能性がある。 しかし、足がテクスチャをどのように知覚するか、特に歩行中に経験する高い力の下で知覚するかは不明である。
[方法] 本研究は、足に日常的なテクスチャーを提示し、その上を歩いてもらい、座った状態で足で触ってもらい、手で触ってもらうという方法で、手によるテクスチャーの知覚を調査した広範な研究を基にしている。参加者は、粗さ、硬さ、粘着性という3つの知覚次元に沿って、それぞれのテクスチャーを評価しました。また、それぞれのテクスチャーの上に立った際の姿勢の安定感についても評価してもらった。
[結果] 各テクスチャの知覚評価は、条件を問わず高い相関関係を示した。 硬さは最も一貫性があり、粘着性は最も一貫性が低い結果となった。 さらに、足による踏査と探索の相関関係は、足による探索と手による探索の相関関係よりも低く、使用する身体部位(足か手か)よりも、相互作用の方法(強い力か弱い力か)の方が知覚に影響を与えることを示唆した。個人レベルでは、条件間の相関関係は参加者間の相関関係よりも高く、相互作用の様式や身体部位よりも個人間の違いの方が大きいことを示唆している。安定性の知覚との関係を調査したところ、硬さのみが有意に寄与しており、硬い表面はより安定していると評価された。
[結論] 座って足でテクスチャを感じる場合、手で感じる場合、そして歩いて感じる場合で、テクスチャの知覚に若干の違いが出るが、それは体のどの部分で感じるか(手か足か)よりも、どのようにテクスチャに接触するか(強い力で歩くか、弱い力で触れるか)の影響が大きいということを示された。足裏と手では、感触の違いを知覚する際の神経密度や皮膚の力学的特性が異なるが、実際の知覚にはこれらの違いは大きな影響を与えないことが示された。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
たまに、靴の中に小石が入り込むことがある。
その感覚は、とても大きな違和感として本人には感じられる。
だが、その小石を見てみると、なんと小さな石だったか、思うことがある。
足の感覚というのは、とても敏感なものだ。
だが、手と比べると流石に劣るだろうな、と感じる。
今回の研究結果は、そんな直感を覆す結論を得た。
それは、「体のどの部分で感じるか(手か足か)よりも、どのようにテクスチャに接触するか(強い力で歩くか、弱い力で触れるか)の影響が大きい」というものだった。
足は、手ほどには鋭敏に物体の触知覚を行うことができるらしい。
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