見出し画像

ウィンドラス機構で足底腱膜に起きていること


📖 文献情報 と 抄録和訳

足アーチ変形における足底腱膜の挙動を、ウインドラス機構を介して直接視覚化および測定する

📕Matsumoto, Yuka, and Naomichi Ogihara. "Direct visualization and measurement of the plantar aponeurosis behavior in foot arch deformation via the windlass mechanism." Clinical Anatomy 38.2 (2025): 116-126. https://doi.org/10.1002/ca.24171
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 足底腱膜(PA)は、歩行やランニングのプッシュオフ期における推進力の生成に寄与する弾性縦方向の帯状組織です。しかし、PAの動的挙動は、PAが生成する歪みの直接的な測定値が不足しているため、依然として不明瞭なまま。そのため、本研究では、 (i) 中足骨関節底屈と母趾趾節関節背屈を伴うニュートラル姿勢、(ii) 中足骨関節底屈と母趾趾節関節背屈を伴うウィンドラス姿勢における足底腱膜の挙動を明らかにすることを目的とした。

[方法] 6人の健康な成人男性が実験に参加し、腱膜の3次元再構成を行い、その経路長、幅、厚さ、断面積を計算した。

✅ PA1〜PA5の具体的な定義
・PA1:最も内側(内側縦アーチ寄り)のバンドで、第1中足骨(MT1)の付近に付着する。
・PA2:第2中足骨(MT2)に向かうバンド。
・PA3:第3中足骨(MT3)に向かうバンド。
・PA4:第4中足骨(MT4)に向かうバンド。
・PA5:最も外側(外側縦アーチ寄り)のバンドで、第5中足骨(MT5)の付近に付着する。

[結果] この研究により、ウィンドラス機構によって引き起こされるPAの形態変化を視覚化および数値化することに成功し、生体力学的なモデリングのための正確な参照値を提供することができた。

■ 足底腱膜の全長とストレイン (歪み)

・ウインドラス姿勢ではPAの全長が有意に伸長しており、特にPA1において大きな差な差(p < 0.01)が確認された。
PA1(内側部)が最も大きなストレインを示し、PA5(外側部)に向かうにつれてストレインが減少した。

また、この研究では、PAの形態と伸張パターンの個人差も浮き彫りになった。ウィンドラス姿勢は歩行中のプッシュオフ相で観察される姿勢とは異なった。

[結論] 観察されたPAの挙動は、その力学と足の障害に対する潜在的な影響について貴重な洞察を提供している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、動作中の足底腱膜の挙動に関する文献抄読をしたが、今回の研究も同一の著者によるものだった。
おそらく、前に抄読した研究の事前段階の研究が、今回紹介する研究になるのだろうと思う。
ニュートラル姿勢とウィンドラス機構姿勢において、足底腱膜に起こっていることを明らかにした。

その結果としては、足底腱膜はウィンドラス機構姿勢をとることで、母趾側で大きく伸張し、歪んでいるということがわかった。
ウィンドラス機構は特に歩行時の足部機能を考える上でとても重要なメカニズムになる。
今回の論文は、ウィンドラス機構姿勢をとることで足底腱膜に疼痛を生じている患者さんへの治療の参考になる内容だった。

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集