見出し画像

THA, TKAと身体活動量-Ⅱ

📖 文献情報 と 抄録和訳

オランダで推奨されている身体活動の遵守:人工股関節置換術前と人工膝関節置換術後

📕Latijnhouwers, Daisy AJM, et al. "Adherence to the Dutch recommendation for physical activity: prior to and after primary total hip and knee arthroplasty." Disability and Rehabilitation (2023): 1-9. https://doi.org/10.1080/09638288.2023.2237409
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

🔑 Key points
🔹身体活動(PA)は、特に変形性関節症を患う患者において、死亡リスクを減少させるために極めて重要である。
🔹われわれは、身体機能と疼痛は改善したが、患者の69%は術前のPAレベルにとどまり、11%がPAレベルを低下させ、20%がPAレベルを上昇させたことを発見した。
🔹手術直後にこの情報を利用することで、整形外科医や他の医療専門家は、PAレベルが低下するリスクのある患者に対処し、PAアドバイスを提供することができる。

[背景・目的] 股関節/膝関節形成術(THA/TKA)前後の変形性股関節症患者における身体活動(PA)推奨遵守の経過を明らかにすること。さらに、術後12ヵ月の非アドヒアランスの予測因子を検討した。

[方法] プライマリーTHA/TKAを対象とした多施設共同観察研究。術前および術後6/12ヵ月に、過去6ヵ月間の中強度の運動(PA-推奨(中強度30分以上、週5日以上))を行った日数/週を報告。中等度の強度の身体活動とは、早歩きやサイクリングと同等の強度のあらゆる種類の身体活動と定義される。術前のアドヒアランスによって層別化した予測因子として、性別、年齢、BMI、合併症、喫煙、生活/就労状況、季節、精神的健康、術前と術後6ヵ月のHOOS/KOOS下位尺度、6ヵ月のアドヒアランスを含めた。

[結果] THA患者1,596人、TKA患者1588人が、術前のPAレベル に関する質問に回答した。合計で、1005人(63%)のTHA患者と972人(61%)のTKA患者が、術前と術後6ヶ月および12ヶ月のデータを有していた。

術前のアドヒアランスは50%。6ヵ月後と12ヵ月後のアドヒアランスは59%に増加。12ヵ月後、ほとんどの患者は術前のPAレベルにとどまったが、術前のアドヒアランスが低下した患者は11%、術前のアドヒアランスが向上した患者は20%であった。すべての群において、6ヵ月後のPA推奨値への遵守が予測因子として同定された(OR範囲:0.16-0.29)。

図は、股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty, THA)を受けた患者の身体活動ガイドライン遵守状況を示している。具体的には、術前、術後6ヶ月、および術後12ヶ月における身体活動の遵守状況を追跡し、それぞれの時点での患者数と割合を示している。
図は、膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty, TKA)を受けた患者の身体活動ガイドライン遵守状況を示している。具体的には、術前、術後6ヶ月、および術後12ヶ月における身体活動の遵守状況を追跡し、それぞれの時点での患者数と割合を示している。

さらに、THA非遵守群(OR=1.07;95%CI [1.02-1.15])およびTKA非遵守群(OR=1.08;95%CI [1.03-1.12])では、BMIが予測因子として同定された。THA非固着群では有給の仕事がないこと(OR = 0.53; 95%CI [0.33-0.85])、TKA固着群ではKOOS下位尺度症状の低さ(OR = 1.03; 95%CI [1.01-1.05])が非固着と関連していた。

[結論] 患者の大部分は術前のPAレベルにとどまっていた。6ヵ月後の非アドヒアランスは12ヵ月後の非アドヒアランスを強く予測した。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

前回、THA, TKAと身体活動量についての文献抄読をして、その研究では術後の歩数が非関節症者の歩数に近づくことを示した。
つまり、THA, TKAは歩数の改善に効果的である、という結論である。
一方で、今回の研究は同じく身体活動量について調査しつつも、その視点は “中強度の運動” の遵守である。

個人として、身体活動量の研究をした経験(参考note参照)があるのでよくわかるのだが、入院中の患者において中強度の運動(MVPA)に費やしている時間というのは、非常に少ない。
ただ歩数を増やせるということと、中強度以上の運動を増やせるということは、意味合いが違ってくるのだろう。
その意味合いにおいて、THA, TKA後においても、あまり遵守状況は変わらなかった印象である。
この部分の遵守状況を上げるためには、そのための介入が必要になってくるのかもしれない。

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集