変形性足関節症のコアアウトカムセット
📖 文献情報 と 抄録和訳
変形性足関節症のためのコアドメインセットの開発:国際的なコンセンサス
[背景・目的] 変形性足関節症(足OA)に関する国際的に合意されたコアドメインセットを開発すること。
[方法] 3段階のデルファイ法プロセスにおいて、足OAの専門知識を有する多分野の医療専門家グループと足OA患者がオンラインアンケートに回答した。アンケートでは、足OA研究の系統的レビューと足OA患者および医療専門家へのインタビューから得られた29の候補ドメインのリストが提案された。足OA患者と医療従事者の間で、コアドメインセットに含めるべきか否かについて、70%以上の合意が得られた場合、事前に定義されたコンセンサスが得られたものとみなされた。未決定の候補ドメインについて議論し、解決するために、オンラインでのコンセンサス会議が開催された。
[結果] 18カ国(4大陸)から合計100名(医療従事者75名、足OA患者25名)が本研究に参加した。足OAの主要ドメインセットに含めることで合意に達したドメインは、疼痛の重症度、健康関連QOL、機能(例. 歩行や階段昇降など, 足関節の状態による動作への影響)、障害(例. 足OAによる仕事や社会活動への参加制約など)、足関節の可動域の5つであった。
主要ドメインセットに含めないことで合意に達したドメイン候補は21あり、3つのドメインは未決定のままとなった(足関節の不安定性、身体能力、精神衛生)。
[結論] 足OA患者と医療従事者が参加したこの国際的なコンセンサス研究により、足OAの主要評価項目セットが確立された。足OAのすべての臨床試験において測定および報告されるべき5つの評価項目は、疼痛の重症度、健康関連QOL、機能、障害、足関節の可動域である。この主要評価項目セットは、足OAの臨床試験における結果の報告を導くものである。今後の研究では、各主要評価項目を測定するためにどの結果測定手段を使用すべきかを決定する必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
同じものを見ていたとしても、違う定規で測っていたら、その現象を1つの数字で共有することはできない。
また、類似の領域を違う評価尺度で計測していたら、別々のものを束ねて一緒に解析したりすることも、しにくくなる。
つまり、使用される評価指標を統制することは、集合知の可能性を高めることにつながる。
それは、科学や科学論文といったものが目指す、そもそもの方向性だとも思う。
そんな中で、今回の抄読研究においては、変形性足関節症という理学療法士にとっては非常に重要な疾患についてコアセットを示してくれた。
このようなコアアウトカムセットの領域に『可動域』が入ってくることは新鮮に感じた。
それほど、変形性足関節症においては関節可動域が重要ということなのだろう。
足OA者を担当した際には、必須で測定していきたいアウトカム領域である。
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