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Work-Family Conflict。トレーナーの仕事-家庭間の葛藤


📖 文献情報 と 抄録和訳

大学アスレティックトレーナーにおける仕事と家庭の葛藤と家族の役割のパフォーマンス

📕Singe, Stephanie M., et al. "Work-Family Conflict and Family Role Performance Among Collegiate Athletic Trainers." Journal of Athletic Training (2023). https://doi.org/10.4085/227.22
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🔑 Key points
🔹大学アスレティックトレーナーのうち、既婚者または子どものいる者は、独身者または子どものいない者よりも仕事と家庭の葛藤(work-family conflict, WFC)が大きいと報告した。
🔹男性の大学アスレティックトレーナーは、女性のアスレティックトレーナーよりもWFCのレベルが高かった。
🔹家族的役割の遂行は、大学のアスレティックトレーナーにおけるWFCを予測した
🔹アスレティックトレーナーは家族的役割の活動に従事できないため、WFCを経験した。

[背景・目的] ワークライフバランスは、アスレティックトレーニング研究の焦点であり続けている。多くの文献があるにもかかわらず、特に家族役割遂行(family role performance, FRP)の領域では、まだ未解明な点が多い。
●目的:大学に勤務するアスレティックトレーナーの仕事と家庭の葛藤(work-family conflict,WFC)、FRP、およびさまざまな人口統計学的変数の関係を検討すること。

[方法] 調査計画横断的オンライン調査。設定大学の環境。患者またはその他の参加者大学アスレティックトレーナー586名(女性=374名、男性=210名、性転換・非適合=1名、無回答希望=1名)。主要評価項目データはオンライン調査(Qualtrics)により収集され、参加者は人口統計学的質問と以前に検証されたWFCおよびFRP尺度に回答した。人口統計学的データは報告され、記述情報と度数について分析された。グループ間の差異を同定するためにマン・ホイットニーのU検定を実施した。

✅ Work-family conflict(WFC)尺度
・仕事と家庭の葛藤は、時間ベース、緊張ベース、行動ベースの葛藤を扱う18項目の質問票によって測定された(📕Carlson, 2000 >>> doi.)。
・この尺度には、葛藤の双方向性を測定する2つの下位要素も含まれている。
・参加者は、WFC尺度の項目を5段階のリッカート尺度(1=強くそう思わない、5=強くそう思う)で評価するよう求められる。
・得点は合計され、総合得点となる。この尺度の累積得点が高いほど、WFCのレベルが高いことを示す。WFC尺度の範囲は18~90点。
・検証された尺度のサンプル項目は、"仕事に時間を割かなければならないため、家庭の責任や活動に平等に参加することができない"、"仕事から帰宅すると精神的に消耗していることが多く、家族に貢献することができない"、"仕事で使っている問題解決行動は、家庭での問題解決に効果的でない "などである。

✅ Family role performance(FRP)尺度
・Chenらによって開発され妥当性が確認されたFRP尺度は、ATの家族領域への関与のレベルをよりよく理解するために使用された(📕Chen, 2014 >>> doi.)。
・この尺度は、課題志向型(4項目)と関係志向型(4項目)の2つの下位尺度で構成され、合計8つの質問からなる。
・回答者は、家族の責任をどの程度果たしているかを評価するよう求められる。
・すべての尺度項目は5段階のリッカート尺度で評価される: 1=期待に応えていない~5=期待に完全に応えている。
・FRPの尺度範囲は8~40である。この尺度は、今回の母集団において信頼できることがわかった(α=0.887)。
・サンプル項目は、「家事の責任を果たした」(課題)と「家族に精神的なサポートを提供した」(関係)である。

[結果] 参加者の平均得点は、FRP尺度が28.19±6.01点、WFC尺度が45.86±11.55点であった。Mann-WhitneyのU検定により、WFC得点の男女差が明らかになった(U = 344 667, P = 0.021)。FRP得点はWFC総得点と中程度の負の相関を示し(rs[584] = -0.497, P < 0.001)、WFC得点を予測した(b = 72.02, t582 = -13.30, P = 0.001)

マン・ホイットニーのU検定では、既婚のアスレティックトレーナー(47.20±11.92)は、未婚のアスレティックトレーナー(43.48±11.78;U=19847.00、P=0.003)よりもWFCスコアが高いことが示された。Mann-Whitney U分析(U = 32 096.00、P = 0.001)でも、子どものいる大学のアスレティックトレーナー(48.16±12.44)と子どものいないトレーナー(44.68±10.90)の間に差があることが明らかになった。

[結論] 大学アスレティックトレーナーは、結婚して子どもを持つことで、より多くのWFCを経験した。私たちは、家庭を築き、人間関係を築くために必要な時間が、時間の不一致によるWFCを引き起こす可能性があることを提案する。アスレティックトレーナーは家族との時間を大切にしたいが、そのような時間が非常に制限されている場合、WFCは増加する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

Life is work, and work is life.
So, balance can not exist.
人生は仕事であり、仕事は人生である。
だから、バランスは存在し得ない。

SuperHuman

“ワークライフバランス”、が叫ばれはじめて久しい。
ぼくはその言葉を、少し冷めた目でみている。
なぜなら、考察の冒頭で述べたような価値観をもっているから。

ワークライフバランスなど、存在しない。
なぜなら、この人生の全てが仕事であり、ライフでもあるから。
そこに境界線はないし、二分されていないものにバランスということも存在しえない、と。
でも、ワークファミリーバランスは、あると思った。

これは分かりやすい。
そりゃ家族と接する時間だって、人生の仕事だ。
だが、家族と接する時間というのは、明らかに存在する。
そして、それに別離する概念としての仕事がある。
そして、限られた1日(24時間)の中に、この両者のせめぎ合いがある。
そのせめぎ合いの渦中にいる人には、当然、葛藤が生じる。

Family:「パパ、勉強しにいくの?」
Work:「ちょっと、この解析もやっといてもらえる?」
Family:「今度、お遊戯会があるのよね…」
Work:「新しい研究、はじめない?」

Conflict, Conflict…。
そのすべてがやりたいことだよ。
だけど、枠は明らかに足りていない。
そのまま人生は進んでゆく。
終わりのない、1mmずつの漸進。

葛藤か…。
“葛藤がある”ことが、悪いこととは思わない。
“葛藤がない”ことを、良いこととも思わない。
だって、その葛藤という摩擦が熱となり、
その熱が蒸気機関でもって人間を動かすから。
すべて葛藤を焚いて、人は前に進んでいる気がする。

そうだ。
今日だって僕は!
葛藤の中で生長しようと、
懸命に、にじり歩いている。

(ギシギシ・・・、ガラッ)

あっ!子どもが起きてきた。
仕事は、…ここまでだ。

迷って。
きっと迷いの中に倫理がある。

ヨレンタ「チ。」

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