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Space Syntax理論。建物の空間配置 × 人の移動, 行動


📖 文献情報 と 抄録和訳

アクティブな職場設計:現在のギャップと今後の方向性

📕Koohsari, Mohammad Javad, et al. "Active workplace design: current gaps and future pathways." British Journal of Sports Medicine (2024). https://doi.org/10.1136/bjsports-2024-108146
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[レビュー概要] オフィスで働く人々の運動不足や長時間の座りっぱなしの生活は、さまざまな健康リスクや経済的影響につながっている。健康増進のための介入は重要ですが、積極的な行動を促す職場環境の役割はますます認識されるようになってきている。しかし、職場環境がこれらの行動にどのような影響を与えるかについては、知識に大きな隔たりがある。
本稿では、職場における規範や文化と、建物のレイアウトが労働者の行動に及ぼす相互効果を調査する必要性、およびより正確な行動測定の必要性について明らかにしている。これらの隔たりを埋めることは、職場での介入策を設計し、積極的で健康的な生産的な職場環境を促進する上で極めて重要である。

■ Space Syntax:建物内の空間配置×人の移動や行動

建物内の空間配置(レイアウト)がどのように人の移動や行動に影響を与えるかを示したもので、グラフ理論に基づく「スペース・シンタックス(空間構文)」の概念を用いて分析している。

・左の図: 空間構文における「軸線(axial lines)」を示している。軸線は、空間を移動するための最も長く、かつ最小限の線を指し、すべての空間を通過するルートを表現している。赤線で示されたこれらの軸線は、空間の主要な動線を視覚化し、各部屋間の接続性や視覚的な広がりを分析するために使われる。
・右の図: グラフ理論に基づく接続性を示す。各空間を「ノード(node)」として、移動経路を「リンク(link)」で結び、全体的な空間の接続性を把握する。例えば、スペースAは他のすべてのスペース(B, C, D, E, F)に接続されており、中心的な空間として機能していることがわかる。
・スペース・シンタックスでは、このように建物内の空間配置をグラフ理論で解析することで、移動のしやすさや各空間の「中心性(centrality)」を評価する。特定の空間が他の空間とどれだけ効率的に結ばれているかを評価し、動線の設計や配置の影響を定量的に理解する手法である。たとえば、スペースAのような中央ノードは、多くのスペースに直接アクセスできるため、従業員の交流や移動が頻繁に行われると予想される。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

私たちが建物をつくる。その後は建物が私たちをつくる。
チャーチル

環境というのは、人の移動や行動にとってとても重要だと思う。
少しだけ幅が狭かったりするところは、やはり通りたいという気持ちが少なくなり、通らなくなってしまう。
また、トイレに向かう道は、必ず通る。
冒頭の言葉にあるように、最初、僕たちが環境を作っているはずなのに、そのあとはその環境が僕たちを動かしていくのだ。

その意味において、職場環境を人の移動や行動を促すように最適化する、という戦略は有効そうだ。
意識的な運動を生活に組み込むことも有用だろうが、生活自体を運動にしてしまう方が、続く。
この分野について、少し勉強してみたい、アンテナを高くしていこう。

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