身体活動レベルを向上させる 『建築環境』への介入一覧。
📖 文献情報 と 抄録和訳
建築環境への介入が身体活動レベルに与える影響:システマティック・アンブレラ・レビュー
[背景・目的] 身体活動は人々の健康に良いものである。建築環境と身体活動の関係については、よく知られ ている。しかし、特定の都市介入、すなわち、事前・事後の効果測定を伴う身体活動を促進する建築環境の意図的な再設計に関するエビデンスは乏しく、散在している。この包括的レビューは、これらの都市介入に焦点を当てたシステマティックレビューの知見を統合することを目的としている。
[方法] PRISMA 2020とJBIアンブレラレビュープロトコルのガイドラインに従い、建築環境、健康、身体活動、介入に関するキーワードを用いて、2010年1月から2022年4月までの期間を対象とした7つのデータベースを検索した。
[結果] 7つのシステマティックレビューが見つかり、その中で身体活動を促進することができるいくつかの都市介入を確認した。公園の改修、運動器具の追加、(新しい)ポケットパークの導入、サイクリング環境の改善、ウォーキング&サイクリング環境の改善、さらに、アクティブトラベルや目的地のアクセス性の向上のための多成分イニシアチブに関する都市介入などが身体活動に対してプラスの効果をもたらすことが分かった。
[結論] この結果から、都市環境は、特に様々な施設や目的地を追加し、環境をよりアクティブな使用に適したものにすることで、身体活動を効果的に促進することができることが示唆された。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
建築環境というのは、とても大切だ。
・駐車場の大きいコンビニに立ち寄ることが多い
・徒歩圏内に公園があるから、子どもと歩いて公園に行くのが楽しみ
・道路が狭すぎるので、超美味しいのになかなか行けない店がある
身体活動量という視点から、建築環境を眺めても、近年いくつもの関連が報告されていて、ARIにおいて文献抄読したこともある。
ところで、どのような仕組みで、建築環境が身体活動量に良い影響を与えるのだろう。
3つあると思った。
①アフォーダンスの視点
・アフォーダンス:環境が動物に対して与える「意味」のこと
・「散歩したいと思った→散歩する」ではなく、「散歩しやすい自然豊かな綺麗な道がある→散歩したいと思った→散歩する」
・建築環境は運動計画の設計者の一員である
②コストの視点
・コスト:身体活動をするのに必要なコストのこと
・散歩できるとても良い道があるのだけれど、そこに行くには車で移動した上で、駐車料金を払う必要がある
・少しでも面倒臭いことがあると、人はやらなくなる(20秒ルール参照)
③自然への回帰の視点
・自然は、人々に行動(身体活動)への動機づけを与える
・自然は、疾患リスクを低減させる
・自然は、ストレスや過度な注意を軽減する
・自然は、人々の絆を深め孤独感を低減する
・エビデンスは以下note参照
以上のような仕組みをもって、建築環境は人間を何かに向かわせる。
そして、今回の抄読研究によって、環境をより望ましいものに整備するための方法一覧が3ドメイン、16項目として示された。
この文献によって、議論が以下のように変わるかもしれない。
行き当たりばったりだった議論が、漏れなく重なりのない議論へ。
今後に出会う、建築環境関連の文献は、主にこのドメイン、項目のフォルダ内に収束してゆくことだろう。
分かっている部分がはっきりしていることは、なんにせよ嬉しいことだ。
それは同時に、分かっていないこともはっきりさせることだからかもしれない。
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び