📖 文献情報 と 抄録和訳
テクスチャー認識のための時空間解像度の高いロボット感覚システム
[背景・目的] 人間は物体の表面で指をそっと滑らせ、静的な圧力と高周波の振動の両方を捉えることでその物体を識別することができる。圧力などの物理的刺激を感知するための人工触覚センサーを作製する従来の方法は、実際の物体に触れて識別する能力や複数のセンサーに依存する能力が足りなかった。高い時空間分解能と感度を有するリアルタイム人工感覚システムの作製は難題となっていた。
[方法-結果] この論文では、人間の指紋の特徴を模倣したフレキシブルなすべり覚センサーについて報告している。このセンサーが物体の表面に触れたり、表面上を滑るように移動したりすると、表面性状の微細な特徴が感覚システムによって認識されるようになる。このセンサーを人間の義手に組み込み、機械学習も組み合わせて用いた。その結果、このセンサーは微細な触覚信号を捉えることができ、リネン、ナイロン、ポリエステル、サッカーなど20種類の繊維を最大100%の精度で識別できることが分かった。
[結論] この感覚システムは、ロボット工学や義肢装具の繊細な触覚の実現に役立ち、さらに触覚ベースのバーチャルリアリティやその先の分野への応用が期待される。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
感覚が分からない、分かりにくいということは非常に厄介なことだ。
それは実用的にもそうだし、心理的にもそうだ。
などの訴えは、脳卒中者をはじめ、疾患により感覚が低下した患者がしばしば訴えるところである。
今回の研究は、そのような感覚低下者にとっては、新たな可能性を示すものになったかもしれない。
人工感覚システムを使えば、100%の精度で対象物を識別できるという。
例えば、このシステムを用いて義手に活かすこともできるし、直接脳に情報を送り込むことで脊髄損傷者の感覚をあたかも回復したかのように繋ぐことができるようになるかもしれない。
そして、僕たち理学療法士にとって重要なことは、そのような新たな技術は、リハビリテーションのあり方も変えていく、ということだ。
人工感覚付きの義手を装着した方の感覚再学習、BMI (Brain Machine Interface)を用いた方の感覚再学習は、いまのリハビリテーションにはない。
新たな技術は、新たな仕事を生み、同時に、古い仕事を消す。
摂理である。
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