人工芝 vs. 天然芝。下肢損傷率のレビュー
📖 文献情報 と 抄録和訳
人工芝と天然芝の競技場における下肢の傷害率:システマティックレビュー
[背景・目的] 人工芝と天然芝でのスポーツ傷害について包括的なシステマティックレビューを行った研究はない。
●目的:すべてのスポーツ、すべての競技レベル、旧世代の人工芝と新世代の人工芝の両方において、全体的な傷害と複数の種類の下肢傷害のリスクを包括的に検討すること。
[方法] 研究デザインはシステマティックレビュー;エビデンスレベル、3。PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)ガイドラインに従って、英語文献のシステマティックレビューを実施した。含まれるすべての論文は、人工芝と天然芝における全損傷率または下肢(股関節、膝関節、足関節)損傷率を比較した。すべてのスポーツ、競技レベル、芝生の種類を対象とした。全損傷率や下肢の損傷率が含まれていない研究は除外した。収録された研究は異質であるため、リスク比を集計して定量的なメタアナリシスを行うことはしなかった。
[結果] 1972年から2020年の間に出版された合計53の論文が研究の包含対象として確認された。新世代芝に関するほとんどの研究(13/18論文)では、プレーサーフェス間で全体的な傷害率が同程度であった。個々の解剖学的損傷部位を分析したところ、旧世代芝(3/4論文)と新世代芝(9/19論文)の両方で、天然芝と比較して人工芝で足と足首の損傷率が高いことを報告した論文の割合が最も多くなった。また、新世代芝を使用したサッカー選手では、膝と股関節の損傷率は競技場間でほぼ同じであったが、サッカー選手、特に競技レベルの高い選手は、天然芝よりも人工芝で膝を損傷する可能性が高いことが報告された。
[結論] 利用可能な一連の文献は、天然芝と比較して、旧世代および新世代の人工芝では、足および足首の怪我の割合が高いことを示唆している。また、エリートレベルのサッカー選手は、天然芝と比較して人工芝で膝の怪我をしやすいかもしれないが、膝の怪我と股関節の怪我の割合は競技場間で同程度であることが、質の高い研究によって示唆されている。天然芝と人工芝の比較で、全体的な傷害率が高いと報告した文献はわずかであり、これらの研究はすべて人工芝業界から資金援助を受けている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これが、僕が人工芝グラウンドでの試合前にしていた選手への説明だ。
その説明は、非常にざっくりしていて、具体性に欠ける。
なぜこのような説明になるか。
それは、具体的な部分を理解していなかったから。
今回のレビュー論文は、その説明に具体性を与えてくれそうだ。
人工芝は、特に足関節周囲の損傷リスクを高めるらしい。
小さな漸進かも知れないが、確かな漸進だ。
具体的になるほど、選手を動かせる可能性は高まると信じる。
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