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12種類の足部内在筋強化トレ

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の歩行に対する12週間の足部内在筋強化トレーニング(STIFF)の効果:並行ランダム化比較試験プロトコル

📕Willemse, Lydia, et al. "Effects of a 12-week intrinsic foot muscle strengthening training (STIFF) on gait in older adults: a parallel randomized controlled trial protocol." BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation 16.1 (2024): 158. https://doi.org/10.1186/s13102-024-00944-z
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[背景・目的] 転倒は高齢者に多く、深刻な影響を及ぼす。歩行障害などの加齢による運動障害は、転倒リスクの増加と強く関連している。転倒予防介入の中でも、エクササイズを含むものが最も効果的である。しかし、この種の介入をさらに改善することが急務である。足底部内在筋の強化は、高齢者の運動能力を向上させ、転倒リスクの低減に寄与する可能性がある。本論文の目的は、機能的運動プログラムに参加している高齢者において、足底部内在筋強化トレーニングが歩行および足底部内在筋機能に及ぼす影響を、トレーニングなしと比較して調査するためのプロトコルを提供することである。

[方法] この評価者盲検RCTでは、グループベースの機能的運動プログラムに参加している高齢者(65歳以上)を募集する。参加資格は、歩行補助具を使用せずに裸足で10m歩行できること、転倒恐怖症または過去12ヵ月間に転倒を経験したことがあること、または日常生活において移動、歩行、バランスに困難があることを報告することである。参加者は介入群と対照群に無作為に割り付けられる。介入群は12週間の足部内在筋強化トレーニングを行う。トレーニングは、分離運動と機能的な足部運動からなり、週5回、1回あたり約20分間行われる。トレーニングは週1回指導され、強度は参加者の進歩に応じて徐々に増加する。

■ 足部内在筋強化トレーニングメニュー

1. 母趾とその他の趾の伸展運動
・足の親指と他の指を伸ばす動きで、両足で行う。5秒間の収縮を10回繰り返す。
2. 足趾を広げて絞り込む運動
・座位で足趾を広げてから締める動き。これも5秒間の収縮を10回行う。
3. ショートフットエクササイズ
・座位で土踏まずを持ち上げるトレーニング。両足で行い、3秒間の収縮を5回行う。
4. タオルギャザー
・足でタオルを引っ張る運動。座位で行い、5回行う。
5. ビー玉を拾う運動
・座位で足趾を使ってビー玉を拾うエクササイズ。これも5回行う。
6. 母趾とその他の趾の押し付け運動
・立位で両足を使い、5秒間の収縮を10回行う。
7. かかと上げ
・座位でかかとを上げる運動。5秒間の収縮を10回行う。
8. 母趾屈曲に対する抵抗運動
・座位で抵抗バンドを使用し、母趾を屈曲させるトレーニング。5秒間の収縮を10回行う。
9. その他の趾の屈曲に対する抵抗運動
・同様に、座位で抵抗バンドを使用し、他の趾を屈曲させる運動。5秒間の収縮を10回行う。
10. 片足立ち
・片足で20秒間立つバランス訓練。
11. つま先歩き
・両足でつま先歩きを20秒間行う。
12. ジャンプ運動
・両足を使って10回のジャンプを行う。

両群とも、身体活動、転倒事故、動作に関連した不快感を報告するために日記をつける。対照条件では、この日記をつけることに限定される。データはベースライン時と介入後に収集される。試験の結果は、最大歩行速度(主要アウトカム指標)、足底部内在筋の能力と筋力、歩行中の足と足首のバイオメカニクス、その他様々な転倒リスク関連変数のベースラインからの平均変化における群間差である。試験結果の分析にはANCOVAを使用した。

[考察] このRCTの結果は、足底部内在筋強化に関連した、既存の転倒予防運動プログラムへの提言を提供するものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

臨床思考過程において、介入内容を選択するプロセスに注目してみる。
例えば、評価結果、統合と解釈の結果から「足部内在筋の強化が必要である」と結論される。
その後、「では、足部内在筋強化のための練習として何を処方するか」となる。
その時に必要なものは、何であろうか。
それは、『選択肢』である。

足部内在筋強化のための適応別、強度別の選択肢が頭の中に展開される。
そして、その中から目の前の対象者に必要で、最適な強度の運動を選択するわけだ。
その意味で、ハナから選択肢を知らない、という状況では選びようがない。
今回抄読した研究プロトコルは、12種類の足部内在筋強化のためのメニューを提供してくれた。
この論文を読めば、少なくとも足部内在筋強化に関しては12の選択肢ができる。
介入の選択肢を増やしていきたい。

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