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大腿骨近位部骨折者術後6ヶ月までのリハビリ実施率

📖 文献情報 と 抄録和訳

京都市における高齢者の大腿骨頚部骨折患者に対する術後リハビリテーションの実施状況:医療・介護保険請求データを用いた地域住民ベースの研究

📕Sasaki, Kosuke, et al. "Implementation status of postoperative rehabilitation for older patients with hip fracture in Kyoto City, Japan: A population-based study using medical and long-term care insurance claims data." Plos one 19.9 (2024): e0307889. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0307889
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[背景・目的] 大腿骨近位部骨折後のリハビリテーションを継続することは、身体機能や生活の質を改善するために推奨されている。しかし、術後リハビリテーションの長期的な実施状況は明らかになっていない。本研究では、高齢者の大腿骨近位部骨折患者に対する術後リハビリテーションの実施状況と、リハビリテーション継続に関連する要因を調査することを目的としている。

[方法] レトロスペクティブコホート研究では、2013年4月から2018年10月までに大腿骨近位部骨折手術を受けた京都市内の75歳以上の患者の医療保険および介護保険請求データを評価した。ロジスティック回帰分析を用いて、6か月間のリハビリ継続に関連する要因を調べた。

[結果] 8,108人の参加者のうち、8,037人(99%)が術後1か月間リハビリを受けていたが、6か月間継続したのは1,755人(22%)のみであった。

・術後1か月: リハビリテーションの実施率は99%と非常に高く、ほぼ全員がリハビリを開始している。
・術後2か月: 実施率は68%に低下し、約3分の1の患者がリハビリを中止している。
・術後3か月: 実施率は56%とさらに減少。
・術後4か月: 実施率が44%に下がる。
・術後5か月: 実施率は33%となり、リハビリを続ける患者はさらに減少。
・術後6か月: 最終的に実施率は28%にまで減少しており、2/3以上の患者がリハビリテーションを中断していることが分かる。

6か月間のリハビリ継続と正の相関を示したのは、男性(調整オッズ比:1.41[95%信頼区間:1.23–1.62])、中程度のフレイルリスク(1.50[1.24–1.82])、高フレイルリスク(2.09[1.69–2.58]) 病院のフレイルリスクスコアを用いて推定した中程度のフレイルリスク(1.50 [1.24–1.82])、高フレイルリスク(2.09 [1.69–2.58])、および介護度:要支援1(1.69 [1.28–2.23])、要支援2(2.34 [1.88–2.90])、要介護1(2.04 [1.68–2.49])、要介護2 (2.42 [2.04–2.89])、要介護3 (1.45 [1.19–1.76])、要介護4 (1.40 [1.12–1.75])、要介護5 (1.31 [0.93–1.85])。一方、認知症は阻害要因として挙げられた(0.53 [0.45–0.59])。

[結論] 高齢患者の30%未満が術後6ヶ月間リハビリを継続した。リハビリを継続した要因は、男性、フレイルリスクが高い、股関節骨折手術前の要介護状態、および認知症ではないことだった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

大腿骨近位部骨折後のリハビリテーションは、いつまで継続した方がいいのだろうか?
今回の抄読研究を読んで、考え込んでしまった。
確かに、リハビリテーションをいつまでも継続することは、少なくとも維持の目的にはなるだろう。
だが、費用対効果の問題もある。
むしろ、近年はそちらに強くフォーカスが当たっている印象で、『ADL改善効果がないのならば・・・』という論調だろう。

介護保険下におけるリハビリテーションの実施となると、また少し目的は変わってくると思う。
そちらのリハビリテーションは比較的長期間の継続が見込まれるもので、最終的には通所系のリハサービスに移行することが望ましいのだろうか。
とはいえ、介護保険下でのリハビリに対しても、費用対効果の側面は問われてきているだろう。
そうなると、いつまで、どのくらいリハビリテーションを継続することが望ましいのか。
このあたりの指針を決めていくことは、個々のケースでも違いがある中で、とても難しいテーマだと思う。
考え続けていきたい。

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