褥瘡リスク最大箇所は?マットレスエンジニアリング
📖 文献情報 と 抄録和訳
完璧なマットレスのエンジニアリング 仰臥位での深部組織応力に及ぼす基材力学の影響
[背景・目的] 睡眠衛生に対する世界的な関心が高まる中、睡眠人間工学はこれまでほとんど研究されてこなかった分野である。睡眠中、人は閉塞した血管の血流を回復させるために寝返りを打つが、これは局所的な組織圧のコントロールが睡眠の快適性を向上させる役割を果たす可能性を示している。本研究では、マットレスの硬さが仰臥位時の組織圧縮応力に及ぼす影響を調査した。
[方法] 様々な硬さのマットレス上での仰臥位睡眠をシミュレートするために、被験者固有の骨盤領域の3D有限要素(finit element, FE)モデルを開発した。脂肪-皮膚組織および筋-臓器組織の構成パラメータは、逆有限要素法の新しい応用を用いて較正した。
[結果] 圧縮応力は、仙骨に接する筋肉で一貫して最大であり、軟質フォームでは18.5kPa、硬質フォームでは30.9kPaであった。軟質から硬質へ、圧縮応力は仙骨で67%、坐骨で20%、小転子で42%、皮膚で50%増加した。解釈フォーム基材の非直線性は圧力を分散する効果があり、仙骨での圧縮応力のピークを緩和した。
[結論] このことは、最も効率的に圧力を緩和できるフォーム基材のアレイを設計できる可能性があることを示している。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
この言葉は、まさに金言だと思っている。
たとえば病棟での環境1つとっても、そうなのだ。
患者さんが入院してくる。
それに対して看護師がベッド周囲環境をつくる。
この無意識的(多くの場合)に作られたベッド周囲環境が、その後の患者をつくる。
とくに、自ら動くことが困難な重症患者において、その影響は深刻なものとなる。
今回の抄読研究は、その一側面を科学的な側面から明らかにした。
マットレスの硬さが、これほどまで圧力に大きな影響を与えるとは思わなかった。
軟質を使うか、硬質のままにするかで、最大のリスク箇所である仙骨には67%の圧力差が生じるのだ。
そして硬質では、褥瘡リスクの閾値近くまで迫ってしまう…。
ベッド周囲環境をつくるのは、間違いなく医療者だ。
主語は僕たちであって、それ以外ではあり得ない。
そして、これは重要なことだと思うのだが、はじめ作られた環境は変えられにくい。
思いの外、この威力は大きいものだと現場感覚では感じている。
初期設定、デフォルトをどうつくるかが、大事。
そう考えると、入院日はとても重要な1日。
環境をどうつくるか、そこを検証するというチェック項目を、初回リハの項目につけ加えたい。
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