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Twitter & Instagram。介入内容投稿の多くで情報ソースが不明

📖 文献情報 と 抄録和訳

理学療法に関するソーシャルメディアのプロフィールを投稿し、フォローし続けるが、注意すること!InstagramとTwitterのソーシャルメディア投稿に関する横断的研究

📕Wageck, Bruna, et al. "Keep posting and following social media profiles about physical therapy, but be aware! A cross-sectional study of social media posts on Instagram and Twitter." Brazilian Journal of Physical Therapy (2023): 100484. https://doi.org/10.1016/j.bjpt.2023.100484
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🔑 Key points
🔹理学療法の介入に関するInstagramやTwitterの投稿の多くは、情報ソースを引用していない。
🔹ほとんどのプロフィールは、潜在的な利益相反の可能性がある。
🔹知識の習得を促進することを目的とした投稿はほとんどない。
🔹理学療法士は、ソーシャルメディアからの情報を慎重に扱うべき。
🔹コンテンツ制作者は、知識の翻訳を促進する手段を検討する必要がある。

[背景・目的] ソーシャルメディアは、科学的な情報を発信するのに有効なコミュニケーションチャネルとして確立されている。ソーシャルメディアは、質の高い情報を発信できる一方で、誤った情報や誤解を招く情報の拡散を助長する可能性もある。さらに、ソーシャルメディアは、パーソナルマーケティングに関連するいくつかの側面を持ちうる自己宣伝環境と考えられている。
目的:理学療法介入に関する投稿が情報源を報告しているか、利益相反(COI)を示唆する側面があるか、知識習得を促進するために情報が提示されているか、投稿された情報の到達範囲、引用した科学文献の使用と質を検証し、ソーシャルメディアの投稿を系統的に検索しレビューすること。

[方法] ポルトガル語の投稿は#reabilitação、英語の投稿は#rehabilitationを用いて、InstagramとTwitterで検索を行った。包含基準は、理学療法に関連する用語を含む投稿と、その目的とともに介入を提示することであった。検索とスクリーニングのプロセスは、少なくとも2人の独立した研究者によって行われた。

[結果] 事前に選択した1,145件の投稿のうち、14%が情報源として文献を引用(86%が情報ソース引用なし)し、57%が潜在的なCOIを提示し、9%だけが知識の習得を促進した投稿が632件含まれた。

投稿には平均±SDで88±593の「いいね!」がつき、プロフィールには平均5,162±37,240のフォロワーがいた。参考文献を引用した投稿については、半数の投稿が正確な情報を提示し(51%)、6%が肯定的な結果のみを提示した(選択バイアス)。また、多くの文献は方法論の質が低いものであった(39%)。

[結論] 本研究は、理学療法の介入に関するInstagramとTwitterのほとんどの投稿が、発信された情報の裏付けとなる報告やソースを使用していないという事実を啓示するものである。また、ほとんどの投稿は、知識の習得を促進するために作成されたものではなかった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

僕が心の底から尊敬する人物の1人に「エイブラハム・リンカーン」がいる。
リンカーンの演説力は、かねてより伝えられてきたところだが、中でも有名な演説に「失われた演説」というものがある。
少し長くなるが、その演説について書かれた本から引用する。

彼は、奴隷制度というものが人道の上から言っても、またとくに、合衆国建国の精神である自由、平等、正義の上から言っても、まったく弁解の余地のない悪い制度であることを論じたのち、合衆国における奴隷問題の歴史を人々に思い起こさせながら、国民の尊敬する偉大な政治家たちが、この問題について、今日までどんなに誠実に建国の精神を守り続けてきたか、同時にどんなに苦心して合衆国の統一を保ってきたかを説明しました
そして、いまや、このアメリカの誇りとする自由の精神と、合衆国の統一とが、どんな危険に陥っているか、を訴えました
それは、少しもことばをかざらず、ただ情理をつくして、一句一句、聴衆の心に確信をたたきこんでゆく演説でした
しかし、合衆国がいまや政治的にも道徳的に重大な危険に近づいていることを憂えているリンカーンの心持ちが、そのかざりけのない熱心なことばを通して、ひしひしと聴く人の心にせまりました
彼が演説をはじめるとまもなく、会場いっぱいの聴衆が、しいんとなってききほれてしまいました
会場には、ほうぼうの新聞社や、雑誌社から演説をそのまま書き取る速記者がいて、彼の演説を書き取っていましたが、やがて速記者の忙しい手が、いつとはなしに、みんなとまってしまいました
かれらも演説に心をひきつけられ、じぶんたちの仕事さえ忘れて、一語一語夢中になって聞き入っていたのでした
演説の速記はとうとう1つも取れないでしまいました
翌日の新聞は、どの新聞社のものも、こうして、ついに記録として後世に残ることあできなかったのですが、それがどんなに深い感動を与えたかということは、このことによって、なおいっそうあきらかに人々に伝えられました
「失われた演説」
「失われた演説」

評判は波紋のように広がってゆきました
(たったひとり、ある青年弁護士がノートをとっておいてくれたので、その要旨は四十年ばかり後に、文字となって世の中に発表されました)

【吉野源三郎】エイブ・リンカーン P. 222

なぜ、リンカーンの演説はこれほどまでに人々の心に静かに、深く刻まれるか。
それは、『事実を決して歪めることなく、飾ることなく、ただ事実に立脚して、率直に伝える』から。
リンカーンの演説の特徴について、同著書に、以下のように記載されている。

彼の演説には、よけいな文句や美しい言葉をならべたてることがありません
どんな農夫にも分かる言葉で、率直にはっきりと説いてゆきます
農夫たちは、彼の演説をきくと、なるほどと、よくなっとくがゆくのでした
その上、彼の言葉や態度には、疑いようのない誠実さがあふれていました

【吉野源三郎】エイブ・リンカーン P. 122

現実に起こったこと、事実を捻じ曲げることなく、飾ることなく、ただ率直に伝える。
それは、簡単なようでいて、とても難しいことだ。
今回の抄読研究は、近年では、それが特に難しくなっていることを明らかにした。
いまや情報収集ツールとして使われることも多い、Twitter、インスタの投稿において、そのほとんどが事実へとつながる「原著論文の情報ソース」を持たず、半数以上がCOIあり、たったの9%だけが知識取得を促す内容、だという。
事実は、言論における地面だ。
それが不明確な状態では、歩くこともままならない。
力を込めるには、踏ん張るには、どうあっても地面が要る。
情報発信者の責任。
情報受信者が、事実に根差した真実を知り、いつでも事実に立ち帰れるようにして伝えること。
≒ 情報ソースをしっかりと引用した上で発信すること。
今こそ、リンカーンの歩んできた道を、向いてきた方向性を、発してきた言葉を、参考にしたい。

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