Twitter & Instagram。介入内容投稿の多くで情報ソースが不明
📖 文献情報 と 抄録和訳
理学療法に関するソーシャルメディアのプロフィールを投稿し、フォローし続けるが、注意すること!InstagramとTwitterのソーシャルメディア投稿に関する横断的研究
[背景・目的] ソーシャルメディアは、科学的な情報を発信するのに有効なコミュニケーションチャネルとして確立されている。ソーシャルメディアは、質の高い情報を発信できる一方で、誤った情報や誤解を招く情報の拡散を助長する可能性もある。さらに、ソーシャルメディアは、パーソナルマーケティングに関連するいくつかの側面を持ちうる自己宣伝環境と考えられている。
目的:理学療法介入に関する投稿が情報源を報告しているか、利益相反(COI)を示唆する側面があるか、知識習得を促進するために情報が提示されているか、投稿された情報の到達範囲、引用した科学文献の使用と質を検証し、ソーシャルメディアの投稿を系統的に検索しレビューすること。
[方法] ポルトガル語の投稿は#reabilitação、英語の投稿は#rehabilitationを用いて、InstagramとTwitterで検索を行った。包含基準は、理学療法に関連する用語を含む投稿と、その目的とともに介入を提示することであった。検索とスクリーニングのプロセスは、少なくとも2人の独立した研究者によって行われた。
[結果] 事前に選択した1,145件の投稿のうち、14%が情報源として文献を引用(86%が情報ソース引用なし)し、57%が潜在的なCOIを提示し、9%だけが知識の習得を促進した投稿が632件含まれた。
投稿には平均±SDで88±593の「いいね!」がつき、プロフィールには平均5,162±37,240のフォロワーがいた。参考文献を引用した投稿については、半数の投稿が正確な情報を提示し(51%)、6%が肯定的な結果のみを提示した(選択バイアス)。また、多くの文献は方法論の質が低いものであった(39%)。
[結論] 本研究は、理学療法の介入に関するInstagramとTwitterのほとんどの投稿が、発信された情報の裏付けとなる報告やソースを使用していないという事実を啓示するものである。また、ほとんどの投稿は、知識の習得を促進するために作成されたものではなかった。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
僕が心の底から尊敬する人物の1人に「エイブラハム・リンカーン」がいる。
リンカーンの演説力は、かねてより伝えられてきたところだが、中でも有名な演説に「失われた演説」というものがある。
少し長くなるが、その演説について書かれた本から引用する。
なぜ、リンカーンの演説はこれほどまでに人々の心に静かに、深く刻まれるか。
それは、『事実を決して歪めることなく、飾ることなく、ただ事実に立脚して、率直に伝える』から。
リンカーンの演説の特徴について、同著書に、以下のように記載されている。
現実に起こったこと、事実を捻じ曲げることなく、飾ることなく、ただ率直に伝える。
それは、簡単なようでいて、とても難しいことだ。
今回の抄読研究は、近年では、それが特に難しくなっていることを明らかにした。
いまや情報収集ツールとして使われることも多い、Twitter、インスタの投稿において、そのほとんどが事実へとつながる「原著論文の情報ソース」を持たず、半数以上がCOIあり、たったの9%だけが知識取得を促す内容、だという。
事実は、言論における地面だ。
それが不明確な状態では、歩くこともままならない。
力を込めるには、踏ん張るには、どうあっても地面が要る。
情報発信者の責任。
情報受信者が、事実に根差した真実を知り、いつでも事実に立ち帰れるようにして伝えること。
≒ 情報ソースをしっかりと引用した上で発信すること。
今こそ、リンカーンの歩んできた道を、向いてきた方向性を、発してきた言葉を、参考にしたい。
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