脳卒中後疲労。患者と介護者の対処
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中患者とその介護者は、脳卒中後の疲労にどのように対処しているか?定性的調査
[背景・目的] 第一の目的は、脳卒中後の疲労を管理するための日常的な戦略を用いた生活体験について洞察することであった。
[方法] デザイン:定性的、記述的研究。設定:地域住民への電話インタビュー。参加者現在または過去に脳卒中後の疲労を訴える脳卒中生存者20名と、非公式なケアやサポートを提供した介護者8名を無作為に抽出した。主要評価項目:半構造化電話インタビューが実施された。データは、フレームワーク・アプローチを用いて分析した。
[結果] フレームワーク分析から生まれた10テーマは以下の通り。
ほとんどの参加者が自分なりの対処法を発見しており、その個人的な対処法には、疲労があることを受け入れる、「ペーシング」(活動を分散させ、休息を挟む)、活動計画を立て、疲労を誘発する「トリガー」活動を特定するために日記をつける、疲労があることについて他人に話す(そして教育する)、リラックスする、専門家のアドバイスやサポートを受ける、などがあった。介護者にかかる負担は大きく、介護者はしばしば脳卒中後の疲労管理戦略を監督しなければならなかった。
[結論] 脳卒中後の疲労は、さまざまな方法で管理されており、誰にでも効果的と思われる特定の方法は存在しない。本研究では、ほとんどの人が自分なりに工夫して対処していた。脳卒中患者や介護者の生活に大きな影響を与えるこの問題の規模を考えると、脳卒中後の疲労の管理は、もっと注目され評価されるべきものである。しかし、その管理は、生活体験者から直接情報を得る必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
患者がこのように訴えたとき、直感的にどう思うだろうか。
(えっ!それは大変。原因を評価して、介入しなければ・・・)
そう思うセラピストが大半ではないかと思う。
では、次の場合はどうだろうか。
(怠惰です。精神的に、甘えてますね。)
直感的に、このような文字がハイライトメッセージとして頭に流れる。
症状に対するセラピストの認識が、この違いを生んでいる。
前者の疼痛は、「病態に起因する」と認識しているから、臨床思考モードにスムーズに入れる。
後者の眠気は、「精神状態や意志力に起因する」と認識しやすいから、臨床思考モードというより、叱責モードに入りやすい。
では、次の場合はどうだろう。
「疲れるんです。疲れて動けないんです」
どちらかといえば、眠気と類似した処理過程、叱責モードになると思う。
だが、こと脳卒中者の疲労は、『しっかり病態に起因する』。
これは、以下の文献抄読からも学んだことだ。
そして、患者と介護者の対処10テーマの先頭に来ているのが、まさにこのテーマ。
「脳卒中の結果として疲労があることを受け入れ、それを管理する必要性を認識すること」
根性論では立ちゆかない。
しっかり分析し、治療対象としていく必要がある。
まず、構え方の問題として・・・。
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