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アジアにおけるサルコペニア有病率

📖 文献情報 と 抄録和訳

アジアにおけるサルコペニアの現状:2019年のサルコペニアアジア作業部会(AWGS)診断基準に基づく系統的レビューとメタ分析

📕Weng, Shao-En, et al. "The evolving landscape of sarcopenia in Asia: a systematic review and meta-analysis following the 2019 Asian working group for sarcopenia (AWGS) diagnostic criteria." Archives of gerontology and geriatrics (2024): 105596. https://doi.org/10.1016/j.archger.2024.105596
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[背景・目的] サルコペニアは加齢に伴う筋肉量と機能の低下を特徴とするもので、特にアジアの急速な高齢化社会において、公衆衛生上の重大な懸念事項となっている。この系統的レビューとメタアナリシスは、2019年のサルコペニアアジアワーキンググループ(AWGS)診断基準を使用して、アジアにおけるサルコペニアの現在の疫学を評価することを目的としている。

[方法] 2019年のAWGS診断基準を用いてサルコペニアと診断された60歳以上の高齢者を対象とした、アジアにおける2023年12月7日までに発表された研究を系統的に検索するために、PubMed、Embase、Web of Science、Cochraneなどのデータベースが検索された。研究の質が評価され、サルコペニア、可能性のあるサルコペニア、重度のサルコペニアのプールされた有病率を推定するためにメタアナリシスが実施された。

✅この研究におけるアジアの定義
この研究における「アジア」の定義は、研究で対象とされた国・地域に基づいている。
具体的には、以下の国と地域が研究対象に含まれている。
・中国(44件の研究)
・日本(43件の研究)
・韓国(25件の研究)
・台湾(11件の研究)
・タイ(7件の研究)
・香港(4件の研究)
・シンガポール(3件の研究)
・インドネシア(2件の研究)
・マレーシア(1件の研究)

[結果] アジア諸国から、合計156,325人の参加者(67.1%が地域在住の高齢者で、参加者の最低年齢は60歳から80歳)が関与する140件の研究が対象となった。

■ アジアにおける地域在住の高齢者のサルコペニア有病率
・Sarcopenia:16.5%(95%信頼区間:14.7%-18.4%)
・Possible sarcopenia:28.7%(22.0%-36.5%)
・Severe sarcopenia:4.4%(3.3%-5.8%)

サブグループ解析では、診断方法に基づくサルコペニアの有病率にばらつきがあることが明らかになった。地域差として中国、日本、韓国などの各国での有病率は異なり、中国が最も高い18.4%、次いで韓国19.9%、日本13.2%。生体電気インピーダンス分析、握力、歩行速度、 椅子立ち上がりテストおよび短時間身体能力テストを用いた場合の20.8%(95% CI:18.9%~23.0%)まで、と幅広い結果となった。

[結論] この包括的な系統的レビューとメタアナリシスは、アジアの高齢者におけるサルコペニアの深刻な負担を浮き彫りにし、公衆衛生への悪影響を軽減するための早期発見と介入戦略の必要性を強調しています。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近、サルコペニアという用語を頻繁に見るようになり、文献抄読においてもその概念的な定義や病院スタッフの疾患、病態の認知度などを勉強してきた(関連note参照)。
だけれども、『実際、どのくらいサルコペニアの人っているの?』という部分は知らなかった。
極端な話だが、100人のうち1人の有病率だった場合、それはかなり “稀” であり、そこに多大なエフォートを費やすことの是非を考えねばらなないだろう。

今回の抄読研究は、我々の住む日本を含むアジア諸国における高齢者のサルコペニア有病率を明らかにしてくれた。
その結果、以下の結果が明らかになった。
・Sarcopenia:16.5%(95%信頼区間:14.7%-18.4%)
・Possible sarcopenia:28.7%(22.0%-36.5%)
・Severe sarcopenia:4.4%(3.3%-5.8%)
つまり、地域在住高齢者のうち、6人に1人くらいはサルコペニアの人がいることになる。
これから、入院してくる患者さんの中には、おそらくもっと多いことだろう。
その心づもりを持って、患者さんに接していこう。

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