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ディズニープリンセスの健康リスク


📖 文献情報 と 抄録和訳

幸せな生活が待っている? ディズニープリンセスの知られざる健康リスク

📕van Dijk, Sanne HB, Michael Bui, and Anouk H. Eijkelboom. "Living happily ever after? The hidden health risks of Disney princesses." bmj 387 (2024). https://doi.org/10.1136/bmj.q2497
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar, ナゾロジー
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✅ 前提知識 - この論文は何?
・毎年の恒例行事(BMJクリスマス号)となっている一風変わった研究論文特集
・論文は、全て通常の査読プロセスを経た「本物」の科学論文らしい

[レビュー概要] おとぎ話のプリンセスは今も広く愛され続けている。ウォルト・ディズニー・カンパニーは、これらの物語を基にした映画を制作することで、その人気に大きく貢献してきた。これらの映画は若い視聴者を魅了する一方で、固定観念化への懸念も生じている。現実離れした人間関係の描写や、不自然なウエストヒップ比などのありえない美の基準は、少女たちの自尊心に悪影響を及ぼす可能性がある。これまでの研究では、映画が視聴者の健康に及ぼす影響に焦点が当てられ、プリンセス自身が直面する健康リスクについてはほとんど調査されてこなかった。今後の研究では、ディズニープリンセスの健康に対する脅威についても考慮する必要がある。

■ 白雪姫は「不安症・うつ病」の高リスク
・白雪姫は幼い頃に両親を亡くし、継母である女王の下で暮らしている。
・女王は恐ろしい魔女であり、白雪姫を下働きのように扱っていた。
・この状況から研究者たちは「白雪姫が不安症やうつ病、心血管疾患の発症リスクが高い」と推測した。
・社会的交流が絶たれ、孤独感が高まると、脳内のドーパミンやオキシトシン(”幸せホルモン”)の分泌が減少することで、意欲や喜びの低下、無力感の高まりが生じることが知られている。
・しかし白雪姫は、その後、孤独の危機から救ってくれる七人の小人に出会う。

■ シンデレラは「呼吸器疾患」の高リスク
・シンデレラは、父親の再婚相手である意地悪な継母とその3人の娘たちから、毎日召使いのような仕打ちを受けている。
特に掃除シーンでは、煙突掃除に代表されるように、絶えず粉塵に晒されている。
毎日のように家中の粉塵を吸い込んでいるため、呼吸器疾患の発症が最も懸念される。
研究者は、この状況からシンデレラが「職業性肺疾患(OLD)を発症する可能性が高い」と診断した。
職業性肺疾患は、仕事中に有害な粉塵や化学物質、環境汚染物質を吸入することで引き起こされる呼吸器疾患である。

■ オーロラ姫は「褥瘡 (床ずれ)」の高リスク
・オーロラ姫(『眠れる森の美女』の登場人物)は、魔女マレフィセントの呪いにより深い眠りにつく。
・深い眠りは心血管疾患や脳卒中のリスクを高め、長時間の睡眠姿勢が続くことで筋萎縮や褥瘡(床ずれ)が起こる可能性があると研究者らは診断している。
・原作では、オーロラ姫は100年間眠り続けるため、さまざまな疾患のリスクが考えられる。
・一方で、ディズニー映画版では眠っていた具体的な時間は明言されていないが、劇中の流れから1〜2日程度と推測される。
・そのため、映画版のオーロラ姫については病気の心配をする必要はなさそうである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前のBMJ BMJ Christmasにおいて、「Super Heroたちの健康リスク」についてのNarrative Reviewが掲載され、それを文献抄読した。
その一例として、スパイダーマンを見てみよう。

✅ 一例. スパイダーマン
Positive factor:体力、柔軟性、敏捷性に優れ、高齢になった際の転倒リスクは軽減される。
Negative factor:ほぼ毎晩犯罪者と戦っているため、ティーンエイジャーに推奨されている8〜10時間の睡眠時間を確保できていない可能性が高い。その結果、肥満、精神衛生の低下、不慮の事故の発生などのリスクが高まる可能性がある。

このように、スーパーヒーローは、強敵と戦うという設定上、主に外傷の危険性が大きい場合が多いだろう(スパイダーマンはやや例外のようだが・・・笑)。
一方で、今回はディズニープリンセスの健康リスクだ。
もっとたくさんのプリンセスについて検討されているのだが、今回は3人に絞った。
その結果として気づいたことは、プリンセスは内科系の疾患や褥瘡などといった「インドア系」の疾患が多いことだ。
男性と女性のヒーローの描き方は、健康リスクにも多大な影響を及ぼしている。

それにしても、今回24日、25日に見てきたように、研究を楽しむことは、どんな点で重要なのだろう。
あるとき、タレントのタモリさんがゴルフに行くときに、早朝の集合時間に遅れてきた相手に対して放った言葉がある。

真剣にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ!
タモリ

「仕事」のイメージと、「遊び」のイメージはやっぱり違う。
そして、考えた方がいいのは、そのどちらが「成長」や「革新」を生み出すか。
絶対、後者だ。
真剣に遊んでいた、小学生のころ。
1回1回の投球やサッカーシュートの練習で新たなフォームを獲得した、構築した。
少なくとも、しようとしていた。
遊びは、常に方法論の熟達をはらむ。
こなすもの、消化するものとして、想定されていないから。

遊びは、内発的な動機付けにもとづく。
仕事は、外発的な動機付けにもとづく。
そして、思い出してほしい。
臨床研究の本質とは、何だっただろうか?
それは「模倣ではなく創造である」ということ(以下note参照)。

臨床研究(創造)のためには、仕事よりも遊びが必要だ。
ただし、真剣な遊びが。
研究を遊べ!

遊び心がつねに私の研究のトレードマークだ
アンドリュー・ガイム

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