Functional Ability。機能的能力の構成概念と妥当性
📖 文献情報 と 抄録和訳
ヘルシーエイジングにおける機能的能力の測定:日本の全国縦断データを用いた妥当性の検証
[背景・目的] 国連「ヘルシーエイジングの10年」(2021-2030年)では、ヘルシーエイジングの進展の指標として、各国が機能的能力をモニターすべきであると提言している。我々は、機能的能力の構成概念としての妥当性、複数ウェーブのデータにまたがる相互検証、およびその後の幸福度に対する予測可能性を検討した。
[方法] 日本老年学的評価研究の65歳以上の地域在住成人35,093人のパネルデータを用いて、2013年と2016年の両方で機能的能力ドメインの構成概念を探索するために因子分析を行った。修正ポアソン回帰分析を用いて、2019年の幸福度(主観的健康度および幸福度)との関連を検証した。
[結果] 参加者の平均年齢(標準偏差)は72.1(5.0)歳、52.0%が女性であった。主観的健康度は85.0%が良好と回答し、幸福度は50.6%が高いと回答した。2016年のデータから論理的にチェックされた31の候補項目による因子分析では、24項目からなる3因子モデルが示唆され、これは2013年のデータ結果と互換性があった。
3つのドメインはすべて、2019年の主観的健康と幸福の両方を予測した。
[結論] 日本の実証データは、高齢者における機能的能力の概念を支持している。この概念を他の国のデータで検証することが必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
素晴らしい!!!
この論文を読んで、というか一目見て。
まず、Age and Ageingという世界的インパクト雑誌に掲載。
素晴らしい。
そして、WHOが提唱している機能的能力(Functional Ability)という概念を具体的な形にしたこと。
素晴らしい。
さらに、それは日本人データを用いた日本人研究者による論文であること。
同じ日本人として、誇りです。
そして、この論文のイントロダクション、最終段落の一文に胸を貫かれた。
「そこで本研究では、“高齢化先進国である日本(a country at the forefront of population ageing)” の高齢者の縦断的データを用いて、機能的能力の構成概念妥当性、交差妥当性、予測妥当性を検討することを目的とした」
高齢化という文言は、一般的にはあまり良い印象を受けないと思う。
しかし、この一文は、その高齢化社会に『高齢化先進国』という、ポジティブな解釈をしている。
そうだ、現実を見よう、しっかりと!
僕たちは、高齢化先進国である日本で、生きている。
その日本で起こっていること、生きている人々の記録、そこから紡ぎ出された研究は、次の他国の参考にだって、もちろんなるのだ。
この視座を与えてくれた著者らに、心より感謝したい。
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