転倒報告のためのスマートフォンアプリ
📖 文献情報 と 抄録和訳
パーキンソン病における転倒報告のためのスマートフォンアプリの共同制作とユーザビリティ
[背景・目的] 本研究の目的は、パーキンソン病(Parkinson disease, PD)患者の転倒をデジタル報告するためのスマートフォンアプリを共同開発し、説明的混合研究法を用いてユーザビリティを検討することである。
[方法] 本研究は3つのフェーズに分けて行われた。第1段階は開発段階であり、PD患者をプロジェクトの共同研究者として募集した。研究者たちは、プロジェクトのアドバイザリー・グループとともに、6ヵ月にわたってアプリを共同制作した。第2段階は実施段階で、15人のPD当事者がアプリの使いやすさをテストするために招待された。第3段階は評価段階であり、第2段階のPD患者10人を対象とした2つのフォーカス・グループによって、システム・ユーザビリティ尺度を用いてユーザビリティが評価された。
✅ 開発されたアプリ『iFall』のスクリーンショット
[結果] 研究者とプロジェクトアドバイザリーグループにより、プロトタイプの開発に成功した。システム・ユーザビリティ尺度を用いて評価したところ、アプリのユーザビリティはPDの人々によって良好(75.8%)と判定された。2つのフォーカスグループ(各グループn = 5)では、1)使いやすさ、2)転倒管理の強化および理解、3)推奨事項および今後の開発、のテーマが特定された。
[結論] iFallアプリのプロトタイプが成功裏に開発され、PD患者にとって使いやすいと判断された。iFallアプリは、臨床ケアや研究への統合とともに、PD患者の自己管理ツールとして使用される可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
転倒発生の記録方法で、これまで知っていたのは自己報告やカレンダー記載といったアナログなものだ。
だが、これらアナログな方法は、いくつかの問題点があるとされている。
まず、リソースの問題。
紙を大量に使用するということが、大規模な研究になる程、問題になってくる。
そして、「思い出し」の問題。
例えば、後から「この3ヶ月で何回転倒しましたか?」を聞かれた場合、忘れてしまうこと、過小評価されてしまうことがよくある。
これらの問題を、スマートフォンアプリでリアルタイムに記録することで、解決できる。
今回の抄読研究は、そのアプリを開発し、実際の患者さんに使用感を確認、使いやすいと評価された。
ペーパーレスは、こんな領域にも進んできている。
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