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大腿骨近位部骨折者の術後の移動能力の回復軌跡


📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿骨近位部骨折後の現実世界の移動能力の回復:4件のランダム化比較試験におけるデジタル移動能力の結果の二次分析

📕Engdal, Monika, et al. "Real-world mobility recovery after hip fracture: secondary analyses of digital mobility outcomes from four randomized controlled trials." Age and Ageing 53.10 (2024): afae234. https://doi.org/10.1093/ageing/afae234
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[背景・目的] 大腿骨近位部骨折後のリハビリテーションの主な目的は、運動能力の回復である。目的:デジタル移動能力評価結果を用いて、大腿骨近位部骨折後の最初の1年間の現実の移動能力の進行を推定する。

[方法] デザイン過去に実施された4件の臨床試験のデータをプールした、探索的前向きコホート研究。対象と設定ノルウェーのトロンハイムで行われた「トロンハイム大腿骨近位部骨折試験」と「エヴァ・ヒップ試験」、およびドイツのシュトゥットガルトとハイデルベルクで行われた「PROFinD 1」と「PROFinD 2」の試験から得られたデータを統合し、65歳以上の大腿骨近位部骨折患者717人のサンプルを得た。各試験では、手術後1年間の全体的な観察結果を総合的に提供するために、3つの時点において身体固定センサー(activPAL)を使用して移動能力を評価しました。 以下の24時間DMOが算出されました:総歩行時間(分)、歩行中の最大歩数、立ち上がりから歩行までの移動回数。中央値、25パーセンタイル、75パーセンタイルの1年間の継続的な進行は、スプラインを用いた分位回帰モデルを使用して推定された。

[結果] このデータセットには、5909日分の観察データが含まれていた。
■ 24時間あたりの総歩行時間(Total walking duration)

手術後36週目までは、1日あたりの総歩行時間の中央値は増加し、40分に達した。

■ 歩行エピソード内の最大連続歩数(Maximum number of steps within a walking bout)

・最大連続歩数は、最初の8週間で増加し、その後100歩未満で安定した。

■ 24時間あたりの立ち上がりから歩行への移行回数(Number of sit-to-stand-to-walk transfers)

・1日あたりの立ち上がり〜歩行の回数は、6週間で40回未満となり、その後は横ばいとなった。

[結論] 3つのDMOはそれぞれ異なる経過をたどり、大腿骨近位部骨折後の1年目には異なる時期にプラトー値に達した。これは、これらのデジタルモビリティアウトカムが、移動能力の回復に関するさまざまな側面について補完的な情報を提供することを示している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

今回のデータをまとめてみる。
・歩行量:術後36週まで増加
・連続歩数:術後8週間で増加、その後安定
・立ち上がり〜歩行への移行回数:6週間まで増加、その後は横ばい

これと、最近の文献抄読である「大腿骨近位部骨折者術後6ヶ月までのリハビリ実施率」を照らし合わせると面白い。

・術後4週: リハビリテーションの実施率は99%
・術後8週: 実施率は68%
・術後12週: 実施率は56%
・術後16週: 実施率が44%
・術後20週: 実施率は33%
・術後24週: 最終的に実施率は28%にまで減少

連続歩数、立ち上がり〜歩行への移行回数が増加する期間である術後8週まではリハ実施率は50%を超えている。
一方で、歩行量は36週まで増大する可能性が高いのに、術後24週でリハ実施率は28%まで減少してしまう。
ここから思うのは歩行能力の回復は、術後長期間のリハビリ実施によって、さらに改善する可能性があるのではなかろうか。
いつまで、どのくらいリハビリを実施すべきかを検討する上で、機能回復の可能性は重要なファクターである。
さらに、この部分の知見を深めていきたい。

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