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術前リハビリテーションの効果
📖 文献情報 と 抄録和訳
プレハビリテーション介入とその要素の相対的有効性:ランダム化比較試験のネットワークメタアナリシスおよびコンポーネントネットワークメタアナリシスによる系統的レビュー
📕McIsaac, Daniel I., et al. "Relative efficacy of prehabilitation interventions and their components: systematic review with network and component network meta-analyses of randomised controlled trials." bmj 388 (2025). https://doi.org/10.1136/bmj-2024-081164
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[背景・目的] 手術を受けた成人患者の術後合併症、入院期間、健康関連QOL、身体機能回復に関する重要な転帰に対する、プレハビリテーションの各要素(運動、栄養、認知、心理社会的)およびそれらの組み合わせの相対的有効性を推定する。
[方法] デザイン ランダム化比較試験のネットワークメタアナリシスおよびコンポーネントネットワークメタアナリシスによる系統的レビュー。データ源 Medline、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane Library、Web of Science を2022年3月1日に当初検索し、2023年10月25日に更新した。 結果の確実性は、信頼性ネットワークメタアナリシス(CINeMA)アプローチを用いて評価した。主要アウトカム評価項目 統合された知識翻訳の枠組みを用いて、患者、臨床医、研究者、および医療システムリーダーとの連携から得られた情報に基づき、治療法を比較し、個々の要素を比較する。 適格な研究は、重大な手術の準備をしている成人を対象とし、プレハビリテーション介入または通常ケアに割り付けられ、重要な転帰が報告されている無作為化比較試験とした。
[結果] 186件のユニークなランダム化比較試験(RCT)が対象となり、15,684人の参加者が含まれた。ランダム効果ネットワークメタアナリシスを用いて治療を比較したところ、
■ 術前リハの効果:合併症
・単独の運動(オッズ比0.50(95%信頼区間(CI)0.39~0. 64;エビデンスの確実性の程度は非常に低い)、単独の栄養療法(0.62(0.50~0.77);エビデンスの確実性の程度は非常に低い)、および運動療法、栄養療法、心理社会的介入を組み合わせた併用療法(0.64(0.45~0.92);エビデンスの確実性の程度は非常に低い)による術前リハは、通常ケアと比較して合併症を軽減する可能性が高い。
■ 術前リハの効果:在院日数
・運動と心理社会的介入の併用(-2.44日(95% CI -3.85~-1.04);エビデンスの確実性は非常に低い)、運動と栄養介入の併用(-1.22日(-2.54~0.10);エビデンスの確実性は中程度)、運動単独(- 93日(-1.27~-0.58);エビデンスの確実性は非常に低い)、栄養療法単独(-0.99日(-1.49~-0.48);エビデンスの確実性は非常に低い)が、入院期間を最も短縮する可能性が高い。
■ 術前リハの効果:健康関連QoL
・運動療法、栄養療法、心理社会的リハビリテーションを組み合わせたものが、健康関連QOL(Short Form-36の身体構成要素尺度の平均差3. 48(95% CI 0.82~6.14)、エビデンスの確実性は非常に低い)を最も改善させた。
■ 術前リハの効果:身体回復
・運動療法、栄養療法、心理社会的リハビリテーションを組み合わせたものが、身体的回復(6分間歩行テストにおける平均差は43.43メートル(95% CI 5.96~80.91)、エビデンスの確実性は非常に低い)であった。
個々の要素をコンポーネントネットワークメタアナリシスで比較した場合、運動と栄養は、すべての重要な結果を改善する可能性が最も高い個々の要素であった。
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すべての比較におけるすべての結果のエビデンスの確実性は、試験レベルのバイアスのリスクと不確実性により、概して低~非常に低かったが、バイアスのリスクが高い試験を除外した運動および栄養学的術前リハビリテーションの結果は信頼性が高いものであった。
[結論] 運動による術前リハビリテーション、栄養による術前リハビリテーション、および運動を含む多成分介入は、手術を控えた成人に有益であり、臨床ケアにおいて考慮される可能性があることを、一貫性があり、かつ潜在的に意義深い効果推定値が示唆している。しかし、術前リハビリテーションの有効性をより確かなものとするには、優先度の高いアウトカムに対して適切な検出力があり、バイアスのリスクが低い多施設共同試験が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
事予めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃す
中庸
この人生における鉄則は、どうやら周術期リハビリテーションにおいても言えるようだ。
今回の抄読研究は、大規模なメタ解析によって、術前リハビリテーション(プレハビリテーション)の効果を明らかにした上で、特に有効な構成要素まで特定している。
運動と栄養、どうやらこの両要素がプレリハにおいては重要であるようだ。
手術を控えた患者さんに、術前リハの必要性を感じてもらうのに、とても有益な結果と言える。
この結果を共有しつつ、運動と栄養を『事前に』介入していきたいところだ。
術前リハビリテーション(プレハビリテーション)、大事である。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕術前リハビリの効果
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) February 23, 2025
・186のRCTを包含
<アウトカム別, 術前リハの効果>
🔹合併症:運動(OR0.5), 栄養(0.62)
🔹在院日数:運動+心理(-2.44日), 運動+栄養(-1.22日)
🔹QoL:運動+栄養+心理 (平均差 3.48)
🔹身体回復 (6分間歩行):運動+栄養+心理 (43.43m)
特に運動と栄養による術前リハは効果的です😲 pic.twitter.com/AnrqdmFE03
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