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External Focus介入の実際。具現化して、焦点を当てさせる

📖 文献情報 と 抄録和訳

身体より心。スポーツスキルの外的フォーカスを作成する

📕Singh, Harjiv, and Gabriele Wulf. "Mind over body: Creating an external focus for sport skills." European Journal of Sport Science 22.4 (2022): 610-616. https://doi.org/10.1080/17461391.2021.1887367
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar
✅ 前提知識:Internal Focus、External focusとは?
- Internal Focus:例. ゴルフのパターにおいて「自分の肘の曲がり具合に注意を向ける」こと。利得・適応:動作フォームの再編成、自己組織化された動作を一旦解体し一部を修正
- External Focus:例. ゴルフのパターにおいて「ボールに注意を向ける」こと。利得・適応:注意の要求を減らす(動作が無意識的に自己組織化される)、運動学習のプロセスが速まる
🔑 Key points
- バレーボールにおいて、物体のイメージ(「プラットフォーム」)を用いてExternal Focus (EF)を促進する。
- バレーボールの初心者は、プラットフォームと腕に焦点を当てながら、ターゲットにボールをパスする。
- パスの精度は、Internal Focus(IF、腕)よりもEF(プラットフォーム)の方が優れている。
- 体の部位を「置き換える」ために物体のイメージを使用することで、外的な注意を促すことができます。

[背景] 異なる外部焦点の有効性を検討した最近の研究、外的焦点の指示は身体の一部(腕)に言及した。具体的には、バレーボールのパスをする際に、手首と肘の間の部分を「台(プラットフォーム)」のイメージで表現していた。本研究では、その研究のフォローアップとして、身体の部位(腕)そのものに焦点を当てる(=IF)よりも、身体の部位(プラットフォーム)を表すイメージに焦点を当てる方が効果的かどうかという問題に取り組んだ。

[方法] 参加者内デザインにおいて、バレーボール初心者は、バレーボールを壁上のターゲットに連続的にパスした。参加者は、EF(「プラットフォームに集中」)条件とIF(「腕に集中」)条件のそれぞれで、45秒間の試行を8回、カウンターバランスのとれた順序で実施した。

スクリーンショット 2022-06-26 6.42.42

✅ 図. 課題環境の模式図

[結果] 腕ではなくプラットフォームに意識を集中させた方が、45秒間の得点の合計が有意に高くなることが示された。

[結論] このように、身体部位の代わりになる外界の物体のイメージを喚起することで、同じ身体部位に内的に集中する場合と比較して、外的な集中を促進し、すぐにパフォーマンスの優位性を得ることができる。この結果は、様々な応用分野において、指導者が運動スキルのパフォーマンスを促進するために、このようなイメージを創造的に利用できることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

HUNTER×HUNTERが好きだ。
その中で、“具現化” という能力がある。

✅ 具現化能力とは?
- オーラを別の物質に変化させる能力。オーラを別の何かに変えるという点では「変化系」と似ているが、具現化系はオーラを“物質化”して別の物体を作り出す能力である。
- オーラを凝縮して武器を作り出したり(普段は手ぶらを装えるので不意打ちにも優れる)、建造物を構築したり、「念獣」と呼ばれる生物を生み出したりといったことができる。
- この系統の能力は、生成する物質に対する強いイメージが必要となるため、念の修行だけでなくイメージの修行も不可欠である。
- 具現化能力を有するキャラクター:クラピカ、カイト
🌍 参考サイト >>> site.

今回の研究を抄読して、「そうか、External Focus (EF)を利用した介入方法は、こう体系化できるのか」と感じた。
その3ステップを以下に記載する。

✅ External Focus介入の3ステップ
1. 望む動作・帰結の明確化プロセス:これからどのような動作を獲得してほしいのか、目的は何かを明らかにする。今回の例ではレシーブを正確に行うこと。
2. 具現化プロセス:適切な仮想現実を創造する。今回の例ではプラットフォーム。
3. 焦点指示-実施プロセス:そこにエクスターなるフォーカスを向けさせる。今回の例では「プラットフォームに集中してレシーブしてください」。

これは、すべて運動学習に応用できると思う。
肝は、何を具現化するか?
いくつか思いついたことを羅列してみる。

投球動作の運び(右投手の右下肢)で股関節を動員する→「ここ(右投手の右下あたり)に椅子があると思って、一度そこに腰掛けるようにしてから投球側に進むように意識して」
投球動作で身体(上部体幹・骨盤)の早期の開きを防ぐ→「ここ(右投手の左肩に接する背部あたり)に壁があると思って、踏み出し足がつくまではその壁を意識して」
スクワット動作で股関節屈曲-伸展を動員する→「ここ(後方)に椅子があって、そこに腰掛けるつもりような感じで、屈伸して」

望む動作を明確にして、それを達するための仮想現実を具現化して、適切な口頭指示を与える。
あなたなら、どんな具現化をする?
この具現化能力には、ずいぶんと個人間で能力に違いがありそうだ。
果たして、その能力は鍛えることができるのだろうか。
面白そうなのは、例えばトップメジャーリーガーの具現化をインタビュー調査して、明らかにすること。
その具現化をアマチュア選手に移植したら、どうなるだろう?
きっと、パフォーマンスが上がるのではあるまいか?
これは面白いリサーチクエッションが出来そうだ❗️

スーッと来た球をガーンと打つ
来た球を打て!

長嶋茂雄

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