見出し画像

高齢者における足と靴の問題

📖 文献情報 と 抄録和訳

転倒・バランスクリニックを受診した高齢者の足の問題

📕White, Josephine, et al. "Foot problems in older adults presenting to a falls and balance clinic." Gerontology (2024): 1-1. https://doi.org/10.1159/000539160
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 筋骨格系の問題、末梢神経障害、末梢動脈疾患、皮膚病理学的病態を含む足の問題は高齢者に多く、転倒リスクの増加と関連している。多角的な足病学的介入が転倒の発生率を低下させることが示されている。本論文の目的は、転倒・バランスクリニックにおいて足病医学的介入を必要とする高齢者を特定すること、彼らが受けている足の健康管理のモデルを説明すること、足の問題と機能との間の横断的関連を調査すること、そして最終的に転倒リスクの集学的管理における足病医学的介入の役割を実証することである。

[方法] 包括的老年医学評価のための転倒・バランスクリニックに通院する患者のコホート研究。人口統計学的情報を収集し、機能的自立度、可動性、足の問題、履物をクリニックで評価した。

✅ 靴の問題の評価方法
・一般的なフィット感、素材、固定具の種類、ヒールベースの幅と高さ、トウボックスのサイズ、ミッドソールの屈曲点、縦方向のソール剛性、トレッドパターンに基づいて適切か不適切かを評価した。

📕Menant, Jasmine C., et al. "Optimizing footwear for older people at risk of falls." JRRD (2008). https://www.rehab.research.va.gov/jour/08/45/8/pdf/Menant.pdf

[結果] 年齢中央値79.3歳(73-84.3歳)、女性68.6%、自立居住93.1%、歩行補助具使用62.7%。80.4%の症例で足病医の紹介がなされ、筋力低下が最も多く(90.2%)、74.8%が不適切な靴を履いていることがわかった。

ほとんどの患者は靴の教育を受け、半数は足と足首の強化エクササイズを処方された。外反母趾と内反小趾の筋力低下は、Short Physical Performance Batteryのスコアが低いことと関連していた(p<0.001)。

[結論] 転倒・バランスクリニックに来院した高齢者の大多数は足病医学的治療を必要としており、足部の筋力低下と不適切な靴が一般的な紹介理由であった。外反母趾と内反小趾が弱い高齢者はバランスと可動性が悪く、転倒リスクが高いことが知られている。このことは、高齢者の転倒リスク管理に対する集学的アプローチの一環として、足病医学的評価と介入の必要性を強調している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

転倒要因は、大きく3つに分けられる。

①内在的因子;Intrinsic Factor
②行動的因子:Behavioural Factor
③外在的因子:Extrinsic Factor

このうち、足の問題は①に、靴の問題は③に区分される。
今回の抄読研究においては、転倒リスクが高いと思われる高齢者において、これらの問題の疫学を調査している。
その結果として、80.4%の症例で足病医の紹介がなされ、90.2%の症例で筋力低下の問題を有し、74.8%の症例で不適切な靴を履いていた。

どうやら、高齢者における足元の問題は、思った以上に多くの人々に当てはまるようだ。
そして、この足元の問題は、さらなる転倒リスクの増加にも関与することが報告されている(関連note参照)。
入院時、退院時の足、靴のチェック、アドバイスは転倒予防の観点からも、非常に重要になるだろうし、そしてその需要は思った以上に大きいことを認識すべきであろう。

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集