注目のバイオマーカ『GDF-15』。リハ系アウトカムとも関連
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者における血漿中成長分化因子15と身体能力および認知機能との前向きな関連性
[背景・目的] GDF-15は、いくつかの加齢関連疾患と関連しているが、地域在住の高齢者における機能的能力との関連は十分に研究されていない。
[方法] 本研究は、Multidomain Alzheimer's Preventive Trialから募集された1096人の地域在住高齢者(69-94歳)の二次解析である。血漿GDF-15は、参加者の登録から1年後に測定された。身体能力(握力およびShort Physical Performance Battery[SPPB])およびグローバル認知機能(Mini-Mental State Examination[MMSE]および複合認知スコア)の年次データが4年間測定された。横断的および縦断的な関連解析のために、調整済み混合効果線形モデルを実施した。
[結果]
■ 横断的な関連性
(GDF15 が高いほど、)
・握力が弱くなる (β = -1.1E -03 , 95% CI [-2.0E -03 , -1.5E -04 ])
・SPPB スコアが低くなる (β = -3.1E −04、95% CI [−5.4E −04、−9.0E −05 ])
・より悪い認知機能 (β = −2.4E −04、95% CI [−3.3E −04、−1.6E −04 ]複合認知スコアの場合; β = -4.0E -04、95% CI [-6.4E -04、 -1.6E -04 ] MMSE の場合)。
■ 縦断的な関連性
(GDF15 が高いほど、)
・SPPBの減少が大きい(β=-1.0E-04、95 % CI [-1.7E- 04、-2.0E -05])
・複合認知スコアの低下が大きい (β = -2.0E -05、95% CI [-4.0E -05、 -3.6E -06 ])
■ カットオフ値
・1年後に臨床的に有意な低下が少ない参加者を識別するための最適な初期GDF15カットオフ値は、SPPBで2 189 pg/mL(AUC: 0.580)、複合認知スコアで2 330 pg/mL(AUC: 0.587)であった
[結論] 血漿GDF15は、高齢者における下肢の身体能力およびグローバルな認知機能と、横断的および縦断的に関連している。循環血中GDF-15だけでは、臨床的に重大な機能低下を起こす高齢者を識別する能力は限られている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまでも、様々なバイオマーカ候補を紹介してきた。
そして、今回抄読したGDF-15。
Nature誌で体重減少との関わりが紹介されるなど、注目度の高さは折り紙付きだろうと思う。
今回、そのGDF-15がリハ系で注目されることの多いSPPBや握力、認知機能との関連することが明らかになった。
今回のGDF-15は、血液検査結果から知ることができる。
そのため、例えば入院時のルーティーン検査に組み込まれれば、いまのアルブミン値に対するような感覚で、身体機能や認知機能の向上度合いを予後予測することに役立ちそうだ。
リハビリとして、検査する時間など手間がかからないところは魅力。
このようなバイオマーカの知識を増やし、予後予測に生かしたい。
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