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回復期病棟入院中の高齢者の身体活動量の要因
📖 文献情報 と 抄録和訳
リハビリテーション中の筋骨格系疾患の高齢患者における身体活動の決定要因の特定:構造方程式モデリングを用いた2つの異なるモデルの比較
📕Kanai M, Yoshida K, Okada H, Ohtsubo T, Ueno K, Nozoe M. Identifying determinants of physical activity in older patients with musculoskeletal disorders undergoing rehabilitation: Comparison of two distinct models using structural equation modeling. Geriatr Gerontol Int. Published online December 15, 2024. https://doi.org/10.1111/ggi.15022
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[背景・目的] 運動制限により、筋骨格系疾患を持つ高齢者は身体活動レベルが低下する。しかし、入院中の高齢患者の身体活動の決定因子は不明である。筋骨格系疾患を持つ高齢患者の身体活動に影響を与える因子を特定するために、構造方程式モデリングを用いた2つの概念的枠組みを比較することを目的とした。
[方法] この横断的研究では、単一の回復期リハビリテーション病院に入院中の筋骨格系疾患の高齢患者を対象とした。身体活動は3軸加速度計を用いて客観的に測定した。構造方程式モデリングを用いて、2つの概念的枠組みを比較した。すなわち、(i)サルコペニア/栄養/日常生活動作モデル、(ii)加齢による心身機能低下/日常生活動作モデルである。モデルの適合度は、平均二乗誤差、適合度指数(GFI)、修正 GFI、および赤池情報量規準を含めて評価した。
[結果] 筋骨格系障害を持つ高齢患者274人(年齢78.0歳、男性42人、女性232人)を対象とした。そのうち、123人(44.9%)がサルコペニアと診断され、69人(25.2%)が栄養不良と診断された。 (ii) モデルの適合度(二乗平均平方根近似誤差 = 0.068、GFI = 0.958、修正済みGFI = 0.909、Akaike 情報量基準 = 5780.87 5)は、(i)のモデル(平均二乗誤差 = 0.080、GFI = 0.953、修正GFI = 0.887、Akaike情報量基準 = 5791.429)よりも優れていた。
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[結論] 加齢による身体機能低下/日常生活動作モデルが、筋骨格系疾患を患う入院高齢患者の身体活動について効果的に説明できることが判明した。サルコペニアや栄養不良などの加齢による変化を考慮した包括的なアプローチは、この人口層における身体活動の理解と促進に、よりシンプルで効果的な枠組みを提供できる可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
『回復期病棟入院中の高齢筋骨格系患者の身体活動量の要因』。
ど真ん中ストライク、である。一番興味のある領域の1つ。
リハビリ以外の時間の過ごし方、1日の身体活動量の重要性は言わずもがなである。
では、その身体活動量を低下させるリスクは?、向上させる鍵は?、と言われるとぼんやりしていた。
今回の抄読研究は、そんな問いに対する、いくつかの明確な答えを与えてくれた。
ざっくり、大きく2つの要因が関与していることが示された。
具体的には、身体活動の決定因子を構造方程式モデリングで解析し、『加齢による機能低下』と『日常生活動作(ADL)』を中心にしたモデルが、筋骨格系疾患を持つ入院高齢患者の身体活動をより効果的に説明することが示された。
特に、サルコペニアや栄養不良といった個々の要素を包括的な『加齢による機能低下』として捉えることが重要に思えた。
サルコペニアや栄養不良は、それぞれ個別に対策するべき課題でもあるが、これらを包括的に捉えることで、『身体活動量』をアウトカムとした、シンプルかつ実践的な思考に基づいた介入が可能になると思う。
例えば、栄養改善を目的とする取り組みは、同時にサルコペニアの進行を抑える結果ももたらす可能性があり、最終的に日常生活動作の改善や身体活動量の向上に寄与する。
これを包括的な枠組みで捉えれば、『加齢による機能低下』を改善し、身体活動量の増大が図れた、と認識できるわけだ。
以上のように、包括的に捉える枠組みを提供してくれたことが、この研究の重要な点だと思う。
人間が一度に認識できる範囲には限界がある。
実験によって、思考のまな板であるワーキングメモリの上に一度に置くことのできるデータ量が決まっていることが知られている。
その量は諸説あるが、『マジカルナンバー7±2』。
ひとが、一度に対峙できる情報量(ワーキングメモリ)は7±2個ほどと言われている(📕Miller, 1994 >>> doi.)。
僕たちは、雑然と並んだ100個には辟易としてしまう。
だが、25個ずつ梱包された、4つなら扱える。
この考えを今回の研究に当てはめると、骨格筋量やSPPB、握力、BMI、栄養指標といった個別の評価を『加齢による機能低下』という1つのフォルダに入れることで、圧倒的に認識しやすくなるわけだ。
そういう営みを、チャンク化と呼んだりする。
そして、認識しやすいものは想起されやすく、自然、臨床実践に結びつきやすいだろう。
これから、「加齢による機能低下」と「ADL」の2本を大黒軸として、回復期入院中の高齢者の身体活動量をとらえてみようと思う。
そして、必要があれば「加齢による機能低下」のフォルダを開き、個別の項目に対して評価・介入していく。
シンプルで効果的な枠組みは、臨床家にとって認識しやすく、患者の身体活動量を改善する鍵になると信じる。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕回復期病棟入院中の高齢者の身体活動量の要因
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) December 19, 2024
・筋骨格系障害を持つ高齢患者274人🇯🇵
<モデルの特徴>
🔹加齢による機能低下(ARD):サルコペニア, 低栄養などを包含
🔹大きく, ARDとADLが身体活動量に関連
是非, note本文の考察も読んで下さい😲
金居先生(@kanaimasa), 出版おめでとうございます㊗️ https://t.co/RWNp7zFpj3 pic.twitter.com/DXgDlmWo9E
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