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エアコンの威力。真夏日, 猛暑日の死亡リスクを減少


📖 文献情報 と 抄録和訳

スペインにおける暑さ-寒さ-死亡率の時系列変化の要因:縦断的観察研究

📕Achebak, Hicham, et al. "Drivers of the time-varying heat-cold-mortality association in Spain: a longitudinal observational study." Environment international 182 (2023): 108284. https://doi.org/10.1016/j.envint.2023.108284
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[背景・目的] 多くの研究が、暑さや寒さによる死亡リスクの経時的減少を報告している。しかし、これらの環境温度への適応過程の促進要因については疑問が残る。我々は、最近数十年間(1980~2018年)にスペインで観察された暑さ・寒さに関連した死亡に対する脆弱性の低下傾向の人口統計学的・社会経済学的要因を分析することを目的とした。

[方法] 1980年1月1日から2018年12月31日の間に、スペイン本土とバレアレス諸島の48州について、全死因死亡率、気温、関連する状況指標に関するデータを収集した。高齢化、孤立、都市性、暖房、空調(AC)、家の古さと所有、教育、平均余命、マクロ経済、社会経済、健康投資を表す14の文脈的指標を分析した。統計解析は、主に暑さ(6月~9月)と寒さ(10月~5月)に関連した死亡率を引き起こす月について別々に行った。まず、準ポアソン一般化線形回帰と分布ラグ非線形モデル(DLNM)を併用して、さまざまな期間における州別の気温と死亡率の関連を推定し、次に、単変量および多変量マルチレベル時空間メタ回帰モデルを適用して、暑さおよび寒さに関連する死亡リスクに対する文脈的特性の経時的な影響修正を評価した。

[結果] 1980年から2012年にかけて、スペインでは年平均気温が10年当たり0.36℃の割合で上昇しているが、気温の上昇は夏季(6-9月に10年当たり0.40℃)に顕著であり、それ以外の時期(10年当たり0.33℃)よりも顕著であった。しかし、この温暖化は、高温と低温の両方に関連する死亡リスクの漸進的な低下と並行して観察された。我々は、ACと暑熱関連死亡率、暖房と寒冷関連死亡率との独立した関連を見出した。ACは、1989~1993年と2009~2013年の間の暑さ(極端な暑さ)による死亡の減少の約28~6%(31~5%)の原因であり、暖房は寒さ(極端な寒さ)による死亡の減少の約38~3%(50~8%)の原因であった。高齢化(すなわち、64歳以上の人口の割合)は、寒さに関連した死亡率の減少を弱めた。

[結論] エアコンと暖房は、暑さ寒さに対する効果的な社会適応手段である。この証拠は、気候変動の健康適応政策や、気候変動が人の健康に及ぼす影響の予測に重要な意味を持つ。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

高齢者は日常生活活動に伴う熱ストレスに対する体温調節反応が低下している。
特に、高齢者は高体温症のリスクが高い。
以前の文献抄読で学んだことだ。

そして、地球は言わずもがな、温暖化が進んできている。
すなわち、高齢者の暑熱に対するリスクが増大している、と考えられる。
だから、1990年代と2010年代では、2010年代の死亡率が高いのかな、と思いきや、そんなことはなかった。
その大きな理由の1つとして、「エアコンの普及率が高まった」ことが関連していた。

話は変わるのだが、訪問リハビリに従事していた時、高齢者の在宅でエアコンが設置されていない家がいくつもあった。
真夏など、セラピストの年代でも身の危険を感じる、いや実際にダウンしてしまう人もいたと思う。
夏の訪問リハセラピストの重要な仕事の1つは「エアコンの設置を推奨する」ことかもしれない。

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