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サルコペニア者の腸内細菌

Super Human | 理学療法士／保健学博士 Ph.D.

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の腸内細菌叢とサルコペニアまたはサルコペニアの定義となるパラメータとの関連性：系統的レビュー

📕Lapauw, Laurence, et al. "Associations between gut microbiota and sarcopenia or its defining parameters in older adults: A systematic review." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (2024). https://doi.org/10.1002/jcsm.13569
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[背景・目的] 腸内細菌叢（GM）の変化は、腸-筋肉軸を通じてサルコペニアの発症または悪化に寄与する可能性がある。本システマティックレビューでは、サルコペニアまたはサルコペニア定義パラメータ（筋肉量、筋力、身体能力）が低い人と、筋肉の状態が保たれている人との間で腸内細菌叢を比較し、サルコペニア（サルコペニア定義パラメータ）と腸内細菌属の相対的豊富度（RA）または腸内細菌の（αまたはβ）多様性指数との間の関連性を明らかにすることを目的としている。これにより、サルコペニアの腸内細菌シグネチャーの存在を示す確固たる証拠があるかどうかを明らかにする。

[方法] この系統的レビューは、PRISMA報告ガイドラインに従って実施され、PROSPERO（CRD42021259597）に事前登録された。PubMed、Web of Science、Embase、ClinicalTrials.gov、Cochrane libraryは2023年7月20日まで検索した。 対象とした研究では、GMとサルコペニアまたはその定義パラメータについて報告している。

[結果] 観察研究は平均年齢が50歳以上の集団を対象としたものとした。 合計10,781人（58.56%が女性）を対象とした32件の研究が対象となった。 13件の研究ではサルコペニアを構成概念として定義していた。19件の研究が、サルコペニアを定義するパラメータ（筋肉量、筋力、または身体能力）を少なくとも1つ報告していた。
複数のレベルにおける異なるGM分類群がサルコペニア（n = 4/6）、筋肉量（n = 13/14）、筋力（n = 7/9）、および身体能力（n = 3/3）と有意に関連していることが研究により示されたが、関連性の方向性は異なり、特定のGM分類群については相反する結果も得られた。
β多様性に関しては、サルコペニア、低筋肉量、または低筋力の人のGMは、筋肉の状態が保たれている人と比較して異なるクラスターに分類されることが研究により明らかになった。
サルコペニアまたは低筋肉量の人では、筋肉の状態が保たれている人と比較してα多様性が低く、豊かさおよび多様性が低いことが示された。これに一致して、α多様性は筋肉量（n = 3/4）および筋力（n = 2/3）と有意かつ正の相関を示した。報告された結果はすべて有意であった（P < 0.05）。

✅ 結果の解釈
・サルコペニアやその関連パラメータ（筋肉量・筋力）の低下と腸内細菌叢の変化には関連がある。
・特に、サルコペニアの人は腸内細菌の多様性が低く、特定の腸内細菌群の割合が変化している可能性がある。
・腸内細菌叢が「サルコペニアのバイオマーカー」として利用できる可能性があるが、さらなる研究が必要である。

[結論] サルコペニアおよび低筋力パラメータを有する人は、GMが豊富で多様性に乏しく、GM組成に基づいて筋肉量および機能が保たれている人と区別できる。サルコペニアおよび低筋力パラメータは、複数のレベルで異なるGM分類群とも関連しているが、結果は異質であり、研究の横断的デザインにより因果関係を結論づけることはできなかった。このことは、サルコペニア患者の大規模サンプルにおいて、適切なGM交絡因子の制御と明確に定義されたコア・アウトカムセットを用いた、均一に設計された横断的および縦断的試験の必要性を強調している。これは、GM分類群の変化をさらに詳しく調査し、サルコペニアに特異的なGMシグネチャーを決定するためである。

🌱 So What?：何が面白いと感じたか？

腸内細菌・・・。
最近、様々なアウトカムとの関連が調べられている、人体にとって、とても重要な部分。
例えば、運動意欲を高める、骨代謝との関係、疾患リスク、果ては気質にまで影響するという。

そんな腸内細菌だが、今回の抄読研究においては、サルコペニア者の腸内細菌について調査している。
その結果として、サルコペニア者の腸内細菌の多様性が低く、特定の腸内細菌群の割合が変化している可能性があることが示唆された。
さらに、サルコペニアやその関連パラメータ（筋肉量・筋力）の低下と腸内細菌叢の変化には関連があった。
やはり、腸内細菌の状態は重要そうだ。
ますます、腸活に勤しみたい！

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