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脊髄損傷者への理学療法管理。推奨される介入, 推奨されない介入


📖 文献情報 と 抄録和訳

脊髄損傷者の理学療法管理:最新情報

📕Glinsky, Joanne V., and Lisa A. Harvey. "Physiotherapy management of people with spinal cord injuries: an update." Journal of Physiotherapy (2024). https://doi.org/10.1016/j.jphys.2024.09.008
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[レビュー概要] 脊髄損傷(spinal cord injury, SCI)は、その人の生活の多くの部分に影響を及ぼす。身体面および心理社会的健康、参加、身体機能(膀胱や腸の機能の変化など)に広範な影響を及ぼす。また、二次的な合併症(骨粗しょう症や褥瘡など)とも関連している。脊髄損傷者の多くは脊髄損傷者病棟やサービスで管理されているが、負傷者の増加や一部の国における専門センターの不足により、専門外のセンターで管理される人も増えている。理学療法士は、急性期からリハビリテーション、そして地域社会に至るまで、脊髄損傷者のための多職種チームにおいて重要な役割を果たしている。本稿では、脊髄損傷者の管理における理学療法介入に焦点を当てる。脊髄損傷の負担と分類、エビデンスに基づく管理、一般的な理学療法介入、研究と実践の今後の方向性についてまとめる。

以下では、SCI(脊髄損傷)患者に対する介入のうち、推奨事項を示している。このガイドラインは、オーストラリアおよびニュージーランドの臨床ガイドライン委員会によって策定されたもので、いくつかの理学療法的介入の実施を推奨または推奨しないものとして分類している。

■ 推奨される介入

1. 筋力トレーニング
・麻痺していない筋肉の筋力強化を目的として筋力トレーニングを行う。
・部分的に麻痺した筋肉の筋力向上のために筋力トレーニングを行う。
・FES(機能的電気刺激)サイクリングを実施し、麻痺した下肢の萎縮を減少させる。
2. 呼吸管理
・呼吸筋が弱い場合、呼吸筋トレーニングによって筋力を向上させる。
・座位時の肺活量を改善するため、腹部バインダーの使用を考慮する。
3. 拘縮管理
・長時間のストレッチを提供し、関節の可動域を保つおよび回復させる。

4. 運動スキルトレーニング
・手動車椅子のスキルトレーニングを行い、車椅子操作技術を向上させる。
・VRを用いた座位トレーニングで、座る能力を改善する。
5. 心肺フィットネストレーニング
・アームクランキング(腕で回すエルゴメーター)で心肺機能を向上させる。
・ハンドサイクリングで心肺機能を改善する。
・サーキットトレーニングで心肺機能を向上させる。
6. 痛み管理
・痛みを軽減するため、TENS(経皮的電気神経刺激)を利用する。

■ 推奨されない介入

1. 電気刺激のみの筋力トレーニング
・部分的に麻痺した筋肉の自発的な筋力を向上させるために、電気刺激のみの使用は推奨されない。
2. 浮腫(むくみ)管理
・浮腫を減少させる目的でFESサイクリングを行うことは推奨されない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

研究には、幹のような研究と、枝葉・果実のような研究がある。
幹のような研究とは、さまざまな個々の実験的研究の結果の共通事項を明らかにし、一般的事実、真理を捉える研究であり、レビュー論文などが該当する。
一方、枝葉・果実のような研究とは、新たな挑戦的、前衛的な実験的研究であり、個々の原著論文が該当する。
幹のような研究になると、一般的事実、真理を捉えるという側面から、その結論はやや包括的で、悪い言い方をすると「当たり前」のことが示されることが多い。当たり前の再確認、という感じで。

だが、今回のレビュー論文は少し違かった。
脊髄損傷者に対する介入の推奨、非推奨を示しているが、これらがほんわかしたものではなく、具体的に推奨されるもの、されないものをはっきり示していた。
これは、そのまま理学療法管理における参考になる推奨事項、非推奨事項だと思った。
もちろん、その主張をしている元論文も紐解きたいが、まずは脊髄損傷者の理学療法を検討する際には見ておきたい論文だ。

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