世界の脳卒中ガイドライン。運動系評価ツールベスト12
📖 文献情報 と 抄録和訳
世界の脳卒中臨床診療ガイドラインにおけるバランスと運動能力の評価のための標準化されたツール:スコープレビュー
[背景・目的] 脳卒中リハビリテーションでは、バランスと移動の制限を評価するための標準化されたツールの使用が推奨されている。脳卒中リハビリテーションの臨床実践ガイドライン(clinical practice guidelines, CPG)がどの程度特定のツールを推奨し、その実施を支援するリソースを提供しているかは不明である。
●目的:脳卒中リハビリテーションのための臨床実践ガイドライン(CPG)において、バランスおよび/または運動能力を評価するための標準化されたパフォーマンスベースのツールを特定し、説明すること、また、課題となっている姿勢制御の構成要素、ツールを選択するために使用されたアプローチ、臨床実施のために提供されたリソースを説明すること。
[方法] スコープレビューを実施した。バランスと運動能力の制限に対処するための脳卒中リハビリテーションの実施に関する推奨を含むCPGを対象とした。7つの電子データベースと灰色文献を検索した。2人1組のレビュアーが抄録と全文を重複してレビューした。CPG、標準化された評価ツール、ツール選択のアプローチ、リソースに関するデータを抽出した。専門家は、各ツールが課題とする姿勢制御の構成要素を特定した。
[結果] レビューに含まれた19のCPGのうち、7(37%)と12(63%)がそれぞれ中所得国と高所得国のものであった。10のCPG(53%)が27の独自のツールを推奨または提案していた。
27のツール全体を通して、最も頻繁に問われた姿勢制御の3つの構成要素は、基礎となる運動系(100%)、予測的姿勢制御(96%)、動的安定性(85%)であった。5つのCPGは、どのようにツールが選択されたかについて、様々な詳細な情報を提供している。7つのCPGが臨床的実施を支援するリソースを提供しており、中所得国の1つのCPGは高所得国のCPGで利用可能なリソースを含んでいた。
[結論] 脳卒中リハビリテーションのためのCPGは、バランスと可動性を評価するための標準化されたツールの推奨や臨床応用を促進するためのリソースを一貫して提供していない。ツールの選択と推奨のプロセスの報告は不十分である。レビューの結果は、脳卒中後のバランスと可動性を評価するための標準化されたツールを使用するための推奨とリソースを開発し、翻訳するための世界的な取り組みに役立てることができる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
臨床実践ガイドラインとは、「健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、 最適と考えられる推奨を提示する文書」(専門理学療法士:指定研修より)である。
つまり、以下のプロセスによってできあがる。
今回のスコーピングレビューは、その『臨床実践ガイドライン』をレビューしたものだ。
単一の臨床実践ガイドライン自体が、木(単一試験)の集合である森(単一のシステマティックレビュー)を集合させた自然公園(単一の臨床実践ガイドライン)である。
それをレビューしようというのだから、根の中の根、幹の中の幹、重要の中の重要。
ぶっとい大黒柱を見る営みになる。
その中で、運動系評価ツールの推奨頻度ランキングだ。
自分の病院について考えてみると、6/12で定期評価として取り入れていた。
そして、そのうち4つはベスト4に入るものであった。
王道どころは押さえている、というところだろうか。
ただし、10年後には、全然別のランキングになっているかもしれない。
実際、このランキングにおいて、最近よく目にし、耳にする評価指標が低ランクになっていたりする。
世界は止まってはいない、一緒に動いていきたい。
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