離床時間の目標。4時間以上:嚥下機能の維持、6時間以上:筋肉量の維持
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者における嚥下機能維持のための離床時間
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar
[背景・目的] 本研究の目的は、日常生活動作(ADL)の低い高齢者において、離床時間と全身の筋肉量および嚥下機能との関連性を明らかにすることであった。
[方法 ]本研究は、東京医科歯科大学において、居住地で医療介入を受けた65歳以上の成人を対象とした横断的研究である。年齢,性別,身長・体重,活動状況,病歴,離床時間,Functional Oral Intake Scale(FOIS)に関するデータを収集した。体格指数,Charlson Comorbidity Index,全身筋肉量,Appendicular Skletal muscle mass index(ASMI),体幹筋肉量指数(TMI)を算出した.離床時間により、被験者を以下のようにグループ分けした。<4時間未満0時間以上(S)、6時間未満4時間以上(M)、6時間以上(L)。これらの変数を一元配置分散分析、Kruskal-Wallis検定、χ2検定で分析し、3群間の差異を検討した。交絡因子を調整するため,ASMIとTMIを従属変数とした重回帰分析,FOISを目的変数とした順序ロジスティック回帰分析を行った。
[結果] 90名の被験者(男性:n=42、女性:n=48、平均年齢=82.9±8.8歳、S群:n=23、M群:n=30、L群:n=37)が解析された。交絡因子を調整した結果,ASMIの有意な説明因子は,性別,活動状況,離床時間,TMIであった.TMIの要因は、活動状態、離床時間、ASMI、FOISであった。FOISの要因は、離床時間、TMIであった。ベッドを離れて過ごす時間が4時間以上であることは、付属骨格筋量およびFOISに関連し、6時間以上であることは、付属骨格筋量、体幹筋量およびFOISに関連した。
[結論] これらの結果から、嚥下機能維持のための運動が困難なADLが低い高齢者の日常生活において、嚥下機能の低下を防ぐことができる要因が明らかになった。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
入院中の高齢者に対して、セラピストや看護師は必ずと言っていいほど、以上のような話を患者にしている。
だが、上記の話には、あるものが欠落している。
それは、『SMART』。
すなわち、その「起きてましょうね」には具体性、測定可能の要素が欠落しており、それがゆえに達成可能かどうかが不明となっている。
今回の研究は、そのような優れない目標となりやすい身体活動量の助言に具体性を与えるものとなりそうだ。
入院時の病院生活における推奨事項の1つとして、組み入れることが推奨される(説明用シートを作ってみた✨)。
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