6項目の質問で慢性疼痛の広がりを予測。『ROPS score』
📖 文献情報 と 抄録和訳
慢性疼痛の発症と拡大に関する予後リスクスコア
[背景・目的] 我々は英国バイオバンクのデータセットに機械学習を適用して、広範囲にわたる多次元の痛みに依存しない特徴を合成し、さまざまな痛みの状態と身体部位全体への痛みの広がりを分類および予測できる予測モデルを開発した。
[方法-結果] 慢性疼痛は、生物学的、心理学的、社会的要因の組み合わせに影響される複雑な状態である。UK Biobank(n = 493,211)のデータを用いて、疼痛は近位部位から遠位部位へと広がることを示し、共存する疼痛部位の数を予測する生物心理社会モデルを開発した。
このデータ駆動型モデルを用いて、様々な慢性疼痛状態(曲線下面積(AUC)0.70-0.88)と疼痛関連病状(AUC0.67-0.86)を分類するリスクスコアを同定した。縦断的解析では、このリスクスコアは、約9年後の広範囲に及ぶ慢性疼痛、身体の部位にまたがる慢性疼痛の広がり、および強い衝撃を伴う疼痛の発生を予測した(AUC 0.68-0.78)。主な危険因子は、不眠、「うんざり感」、疲労感、ストレスフルなライフイベント、肥満度30以上などであった。
■ 慢性疼痛の発症と広がりを予測するROPS: risk of pain spreading
・上記のリスクスコアを簡略化、2値化された6つの簡単な質問に基づき、同様の予測性能が得られた。
・その後、北フィンランド出生コホート(n = 5,525)とPREVENT-ADコホート(n = 178)で疼痛伝播リスクを検証したところ、同等の予測性能が得られた。
[結論] この知見は、慢性疼痛が共通の生物心理社会的因子から予測できることを示しており、研究プロトコルの調整、臨床試験における患者の無作為化の最適化、疼痛管理の改善に役立つものである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまで、疼痛、慢性疼痛に関して多くの文献抄読をしてきた。
睡眠、食事(ライフスタイル)、不安(気分)…。
今回の論文は、これまでの知の集積を束ねて花束にしたような、珠玉のモデルといえる。
そして、その珠玉のモデルが発表された舞台は、Nature MedicineというTop of Top‼️
すべての痛みの治療に関わる人間が知っておいた方がいい論文だと思う。
だが、その中身をみて、多くの人が辟易とするだろう。
美しいのだが、図が多すぎる、処理すべき情報が多すぎる。
そんな人間にも、手を差し伸べてくれるのがNature Medicine。
簡単な6項目の質問スコアにして、臨床応用可能性を高めている。
ただ開発するだけでなく、どのようにそのモデルを用いるか、にまで配慮されている。
この神6だけは、理解しておきたい。
人に時計をくれてやっても、その使い方を教えてやらねば何もならぬ
竜馬
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