大腿骨近位部骨折患者の入院時身体活動と退院時ADL自立度の関連
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢股関節骨折術後リハビリテーション入院患者の退院時日常生活動作自立度と入院時身体活動量との関係:後方視的症例対照研究
[背景・目的] 股関節骨折は日常生活動作(activities of daily living, ADL)の低下を伴い、長期間の介護を必要とする。股関節骨折患者の身体活動は手術直後から一時的に低下するため、リハビリテーション入院時の身体活動の測定が困難である。本研究では、ADLの自立を予測するカットオフ値を決定することで、退院時のADLとリハビリテーション入院時の軽度・中等度の身体活動との関係を検討した。
[方法] この後方視的症例対照研究では、入院リハビリテーションに入院した65歳以上の股関節骨折術後患者43例を分析した。退院時のADLはFunctional Independent Measure運動項目(FIM-m)を用いて評価した。リハビリテーション入院時の身体活動時間は、加速度計を備えた活動量計を用いて測定した。
病院前の虚弱度はClinical Frailty Scaleを用いて評価した。これらの変数間の関係は、スピアマンの積率相関係数を用いて調べた。ADLの介助を必要とする患者とそうでない患者との身体活動の差は、共分散分析を用いて検討した。退院時のADL介助の必要性の受信者動作特性曲線が身体活動持続時間から作成された。
[結果] リハビリテーション入院時の身体活動期間は退院時のFIM-mと関連していた。退院時のADL介助の必要性を予測するための身体活動時間のカットオフ値は135秒で、感度83.3%、特異度68.4%であった(曲線下面積:0.76)。
[考察] リハビリテーション入院時の身体活動時間は、高齢の股関節骨折患者において退院時にADLの介助を必要とするリスクを定量的に予測できる因子である可能性がある。軽度および中等度の強度の身体活動の継続時間は、患者のADLを改善するための集学的入院リハビリテーションの構成要素となりうる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
近年、早期離床の重要性や有用性が、さまざま報告されている。
今回の抄読した論文も、どうやらその1つとなりそうだ。
大腿骨近位部骨折患者の入院時の身体活動は、退院時のADL自立度に関連するらしい。
術後早期から、135秒間以上の連続した身体活動、これは主には歩行練習や立位・歩行を中心とした荷重練習の際にカウントされるものかもしれない。
リハビリテーションにおいても、身体活動の強度だけではなく、その持続時間も考慮に入れていきたいと感じた。
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