見出し画像

体重を減らしたい?では、自然に近づきなさい

▼ 文献情報 と 抄録和訳

成人・高齢者の肥満と自然空間-システマティックレビュー

Teixeira, Andreia, et al. "Obesity and Natural Spaces in Adults and Older People: A Systematic Review." Journal of Physical Activity and Health 18.6 (2021): 714-727.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 肥満は公衆衛生上の重要な問題であり、過去10年間で世界的に増加しており、現在も罹患率や早死にの主な原因の一つとなっている。自然との触れ合いは、より活動的なライフスタイルを促進するための貴重な資源であり、健康的な体重を維持する上で中心的な役割を果たしていると思われることを示唆する証拠が蓄積されている。著者らは、自然空間と肥満との関係を調査した研究結果をまとめるために、システマティックレビューを行った。

[方法] Primary Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses」のガイドラインに従い、11のデータベースを用いて、英語で完全に利用可能で、2010年から2020年の間に発表された、成人(18~64歳)および/または高齢者(65歳以上)を対象とした研究を対象に文献検索を行った。

[結果] すべての組み入れ基準を満たす50件の研究が見つかった。大半(68%)の論文が、緑地・青地の利用可能性の高さと距離の短さが、脂肪率の低さと関連していることを明らかにした。これらの関連は、人口統計学的および社会経済的要因を調整した後でも、正の値を示した。

[結論] 緑や青の空間の特徴を探ることは、都市計画や健康政策にとって有望な手段であると思われる。著者らは、今後の介入策として、自然と触れ合う運動プログラムの実施を提案している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

身体活動量の研究が世界中で進んでいる中、「意識的に何かをするというよりインフラって大事だよね」という認識が高まっている。こちらも今月明らかになった、身体活動量増大に有効な8つの投資領域の中でも『アクティブな交通手段』『アクティブな都市デザイン』という生活インフラに関する項目が2つ入っている。

Milton, Karen, et al. "Eight investments that work for physical activity." Journal of Physical Activity and Health 18.6 (2021): 625-630.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

以下の例を見てほしい。

例. 意識的にスポーツジムへ運動しに行く vs. 出勤の交通手段が自転車

明らかに、後者のほうが継続性があると思う。意志力を使って何かをするのではなく、環境や状況自体を「せざるを得ない」ものにしていく方が、効果的なのだろう。