頸髄版!ペンフィールドの実験
📖 文献情報 と 抄録和訳
ヒト背側脊髄の術中電気刺激による腕と手の筋肉反応のマップを明らかにする
[背景・目的] 腰部脊髄への硬膜外刺激は運動回復のための強力なモダリティとして登場したが、腕や手の筋肉を活性化するために頸部脊髄にどのように狙いを定めるべきか、特にヒトにおいてはよく理解されていない。我々は、ヒトの硬膜外頸髄後方刺激に対する筋反応をマッピングすることを試みた。後根入口部上の側方刺激が最も効果的であり、刺激されたセグメントによって支配される筋肉において最も強い反応を示すであろうという仮説を立てた。
[方法] 臨床的適応のある頸椎手術を受けている26名が、運動反応のマッピングに同意した。手術中、複数の露出したセグメントで正中線と側方の位置で刺激が行われ、体の両側で6つの腕と3つの脚の筋肉が記録された。
[結果] すべての部位と筋において、側方刺激は正中より強い筋反応を示したが、反応の潜時や形状は同様であった。頸部分節に支配される筋は、その分節への刺激による反応が最も大きかったが、他の頸部分節に支配される筋や下肢筋にも反応が観察された。頸部応答は頸部吻側(C4-C6)と頸部尾側(C7-T1)に集中していた。
[結論] 側方刺激に対する強い反応は、求心性軸索への刺激の近接によるものと考えられる。隣接する頸部分節への刺激に対する応答サイズの小さな変化は、局所的な回路の統合を主張し、遠くの筋肉応答は長い固有脊髄接続の活性化を示唆している。このマップは、腕や手の機能を改善するために頸部刺激を導くのに役立つ。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
薄暗い部屋で、切り開かれた頭蓋の中にある脳を刺激する。
ある部位を刺激すると、手が動いた。
また別のある部位を刺激すると、顔が動いた。
実験は、黙々と進んでいく。
・・・。
もはや、現実に起こったことなのか、とすら思えるほど神秘的な光景だ(想像だが)。
ペンフィールドの実験は、「人間が踏み込んじゃっていいのか?」、というスレスレの倫理性の中で、やや神の領域に人間が踏み込んでいる感じが、人を引き込む。
そして、その凄みは脳という見えざるはずの組織と、目に見える効果器の関係を『直接』確かめているところだ。
だから、信頼できる。信頼せざるを得ない。
実際、そうだったのだから。
今回抄読した研究も、それと同じ構造を持った実験で、目にした瞬間、凄みを感じた。
この実験に同意した26名の患者を心より尊敬する。
さぞ、怖くて不安な思いがあったろうと思う。
こんなに貴重な情報を提供してくれて、ありがとう。
生かしきるのはもちろん!、僕たちの仕事。
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