下肢切断 & 義足使用者。重要だと思うアウトカム領域
📖 文献情報 と 抄録和訳
下肢切断と補装具リハビリテーション後の回復について、意味のあるアウトカム領域を探る:患者の視点から
[背景・目的] 下肢義足のリハビリテーション後にどのようなアウトカムドメインを測定するかについては、現在のところコンセンサスが得られていない。義肢装具使用者は重要な転帰領域について独自の洞察力を持っているが、彼らの重要な視点については現在ほとんど知られていない。
[方法] 過去5年間に下肢切断を受けた合計37名の参加者を、英国の義肢装具センターおよびソーシャルメディアから募集した。データは、フォーカス・グループとインタビューを用いて収集し、反射的主題分析を用いて分析した。
[結果] 5つのテーマが特定された。
1)重要な活動に参加する能力
2)参加者がこれらの活動をどのように行うことができたか、すなわち、自立して、楽に、安全に、最小限の装備で行うことができたか
3) 快適で使いやすい義足
4) 痛みを管理することの重要性
5) 新しい日常生活に適応し、それを受け入れること
これら5つのテーマ、すなわちアウトカムドメインは、単独で存在するのではなく、互いに影響しあい、参加者の全体的な回復感に寄与したり、阻害したりしているようであった。
[結論] 切断後の人々にとって回復が何を意味するかを定義する重要なアウトカムドメインを理解することは、リハビリテーションの焦点を定めるだけでなく、ドメインのコンセンサスを得るのに役立つ。領域のコンセンサスは、意味のある方法で補装具の介入を評価する測定ツールの選択の指針となるであろう。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
しばしば、アウトカムというものは、医療者主導で定められていないか。
歩行速度、バランス機能、日常生活自立度…。
それがが重要だということは、まず医療者が思い、そして患者に説明し、納得してもらう。
なるべく患者さん自身に意義の大きいアウトカム選択ができるよう・・・。
と、そう考えていること自体が、医療者主導型、なのだ。
まず、患者さん自身に問えばいい、聞けばいい、「何が重要なアウトカムですか?」と。
それをやったのが、今回の抄読研究である。
下肢切断者、義足使用者という特異的な患者集団にとって、重要なアウトカムは何かを聞いた。
そして、5つの重要なアウトカム領域が浮き彫りになった。
個人的に、特に興味深かったのは、2)の「参加者がこれらの活動をどのように行うことができたか、すなわち、自立して、楽に、安全に、最小限の装備で行うことができたか」であった。
より快適に、というのは二者択一(Yes、No)になりにくいので、どうしてもアウトカムとして明確になりにくい部分だった。
が、確かに、患者さんにとっては、重要度の高い領域であろうとも感じた。
リハビリテーションは、患者さんと一緒に築いてゆくもの、その意識を忘れずにいたい。
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