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膝蓋骨位置に影響を及ぼす膝周囲組織

📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿四頭筋の解剖学的因子が膝蓋骨の安定性に及ぼす影響。システマティック・レビュー

📕Lastoria, DA Abelleyra, C. K. Benny, and C. B. Hing. "The effect of quadriceps anatomical factors on patellar stability: A systematic review." The Knee 41 (2023): 29-37. https://doi.org/10.1016/j.knee.2022.12.015
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🔑 Key points
🔹内側広筋の筋力は膝蓋骨の安定性の決定因子である。
🔹外側支帯は、膝の屈曲全域を通して膝蓋骨の安定性に寄与している。
🔹内側支帯は、膝関節屈曲30°までの膝蓋骨の安定性に寄与する。
🔹大腿四頭筋の角度は膝関節屈曲時の膝蓋骨の安定性に影響するが、伸展時には影響しない。

[背景・目的] このシステマティックレビューの目的は、大腿四頭筋の解剖学的要因が膝蓋骨の安定性に及ぼす影響を分析することであった。

[方法] 本レビューのプロトコルは、PROSPEROに登録番号CRD42022334265で登録された。PRISMAに準拠した体系的なデータベース検索を実施した。電子データベース(MEDLINE、Global Health、MIDIRS、Embase、PsycARTICLES、APA PsycInfo)、現在登録されている研究、会議録、収録研究の参考文献リストを検索した。ナラティブシンセシスにより、膝蓋骨の安定性に対する大腿四頭筋の解剖学的要因の影響に関する現在のエビデンスの要約が示された。

[結果] 最初の検索では、合計9168件のレコードがスクリーニングされた。このうち、20の論文が包含基準を満たし、689人の患者の754膝と69人の死体膝を評価した。

● 内側広筋の筋力(Vastus medialis obliquus strength, VMO)は膝関節屈曲15°まで膝蓋骨の安定性に影響
● 内側支帯の完全性は膝関節屈曲30°まで影響(膝の屈曲の残りの部分にまでこの影響が及ぶかどうかについては、研究によって見解が分かれている)
● VMOの高さ、断面積、角度が膝蓋骨の安定性に及ぼす影響については、相反するエビデンスがある
● 外側支帯は、膝関節屈曲の全体を通して膝蓋骨の安定性に寄与している
● 大腿四頭筋の角度(Q-angle)は、膝関節屈曲時の膝蓋骨の向きを変えるが、伸展時には変えない。

[結論] 内側広筋の筋力は膝蓋骨の安定性を決定する因子であることが判明したが、内側広筋の形態的パラメータが膝蓋骨の安定性に及ぼす影響については、矛盾したエビデンスが存在する。外側支帯は膝関節屈曲の全域で安定性を発揮し、内側支帯は屈曲30°まで安定性を発揮した。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

膝蓋骨は、大腿骨上に浮かぶ島のようだ。
上下左右、自由に動き回ることができる。
そして、自由には制御が要る。
どの組織が、どのような貢献をして、この島の動きを制御しているのか。
今回のシステマティックレビューは、この疑問にいくつかの答えを与えてくれた。

重要になってくるのは、内側広筋の筋力、内側支帯、外側支帯、そしてQ-angle。
膝蓋骨位置についてアセスメントするときには、これらの因子について懸案すれば良いことがわかった。
また、各制御因子ごとに、それぞれの組織が貢献できる膝関節可動域の領域がある程度決まっているということも重要だ。
筋で制御できるのは、伸展最終域に近い部分のみであって、それ以降の屈曲域では、靭帯性(膝蓋支帯)の制御が重要になってくる。
膝蓋骨のことを考えるときには、“どの屈曲可動域において?” ということを抜きにしては、考えにくいようだ。

介入の視点に立てば、筋には影響を及ぼせるだろうが、靭帯にはどれだけリハ介入で影響を及ぼせるのだろう?
これは以前からの疑問なのだが、引き続きアンテナを張っていきたい。

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