筋の超音波エコー輝度と身体機能の関連
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者における骨格筋エコー原性と身体機能との関連を探る:メタアナリシスによるシステマティックレビュー
[背景・目的] 高齢化社会における骨格筋の評価と定量化は、診断、治療、傷害/疾患予防に不可欠である。超音波診断により筋の質を評価することが臨床的に可能であることは、機能を制限する疾患のスクリーニングツールとして利用する機会を提供する。しかし、筋輝度と臨床的機能評価との間には、権威ある分析が必要である。そこで我々は、(a)高齢者(60歳以上)における筋輝度と身体機能との関係を評価するための文献を統合し、(b)骨格筋エコー原性と身体機能との関係のプール解析を行い、(c)筋間の関係を明らかにするためのサブ解析を行うことを目的とした。
[方法] CINAHL、Embase、MEDLINE、PubMed、Web of Scienceの各データベースを系統的に検索し、高齢者における筋輝度と身体機能に関する論文を同定した。ファネルプロットの検討とともにリスクオブバイアス評価を行った。身体機能の最も一般的な指標について、FisherのZ変換を利用して、個々の筋についてのサブ解析を含むメタ解析と含まないメタ解析を行った。Fisher's Zは解釈のためにPearsonのrに逆変換した。
[結果] 51報の論文(n=5095、女性=約2759、男性=約2301、72.5±5.8歳、平均±SD(1報は性描写がない))がレビューのために抽出され、13報の研究の著者から未発表のデータが得られた。大腿直筋(n=34)および等尺性膝伸展筋力(n=22)は、それぞれ最もアクセス数の多い筋力および身体的資質であった。大腿四頭筋の筋輝度と膝伸展筋力との関係は中程度(n=2924、r=-0.36(95%信頼区間:-0.38~-0.32)、p<0.001)であり、他のすべてのメタアナリシス(握力、歩行速度、座位から立位、TUG)では、相関はやや弱かった(r:-0.34~-0.23、すべてp<0.001)。
・握力:-0.31[95%CI:-0.37~-0.24]
・立ち上がり:-0.34[95%CI:-0.44~-0.23]
・歩行速度:-0.23[95%CI:-0.29~-0.16]。
・TUG:-0.26[95%CI:-0.35~-0.18]。
サブ解析の結果、筋群間の予測能力の差はわずかであったが、筋を組み合わせる(例:大腿直筋+外側広筋)ことで、最大筋力との相関が強くなることが多かった。
[結論] 相関は緩やかであるが、手頃な価格で携帯可能な非侵襲的超音波による筋質評価は、高齢者の身体機能の一貫した予測因子である。筋間の差が最小であることから、筋質のエコー推定値は全身的であることが示唆される。したがって、研究者はモデルを強化するために複数の筋肉を組み合わせることを検討すべきである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
百聞は一見に如かず、とはよく言ったものだ。
僕たちは、筋力について評価をしたり、触診によって筋萎縮の状態を確認したり、している。
だが、これらの検査は、どれも直接的ではない、関節的に骨格筋の状態を知るための手段である。
しかし、超音波エコー検査ならば、まさに直接的に骨格筋の状態を「見る」ことができる。
今回の抄読文献は、その筋の超音波エコー輝度(筋輝度)は、身体機能とどのくらい関連しているかをメタ解析で明らかにした。
直接的に見た筋の状態が、臨床上重要な身体機能とどのくらいの関連を示すか。
その結果、どの身体機能も筋輝度と有意な関連を認め、有用な検査であることが明らかになった。
まず、その状態を直接的に見てみる、これは大事なことだと思う。
超音波で組織を見る技術を身につけていきたい、少しずつ勉強、練習していこう。
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