ギプス固定中にできること。非固定側を遠心性に鍛えよう!
📖 文献情報 と 抄録和訳
非固定腕の固定時における片側遠心性トレーニングと求心性トレーニングの効果
[背景・目的] 本研究では、非固定腕の遠心性トレーニング(eccentric training, ET)は、求心性トレーニング(concentric training, CT)と比較して、固定による悪影響を減弱し、固定後のエキセントリック運動によって誘発される筋損傷に対してより大きな保護効果をもたらすという仮説を検証した。
[方法] 座位の若い男性をET群、CT群、対照群に分け(各群n=12)、非利き腕を3週間固定した。固定期間中、ET群とCT群はそれぞれ、最大随意等尺性収縮(maximal voluntary isometric contraction, MVCiso)の20%~80%の強度で、ダンベルカールの遠心性収縮のみ、および求心性収縮のみの収縮を6回、5セットずつ行った。MVCisoトルク、MVCiso中の筋電図活動の二乗平均平方根(root-mean square, RMS)、上腕二頭筋断面積(cross-sectional area, CSA)を両腕の固定前後で測定した。ギプスを外した後、固定した腕で肘関節屈筋の遠心性収縮(30EC)を30回行った。いくつかの間接的筋損傷マーカーが、30ECの前、直後、5日後に測定された。
[結果] ETは、訓練した腕のMVCiso(17%±7%)、RMS(24%±8%)、CSA(9%±2%)をCT(6%±4%、9%±4%、3%±2%)よりも大きく増加させた(P<0.05)。対照群では、固定した腕のMVCiso(-17%±2%)、RMS(-26%±6%)、CSA(-12%±3%)の減少がみられたが、これらの変化は、CT(-4%±2%、-4%±2%、-1.3%±0.4%)よりもET(3%±3%、-0.1%±2%、0.1%±0.3%)のほうが大きく(P<0.05)減衰した。30EC後のすべての筋損傷マーカーの変化は、ET群とCT群では対照群より小さく(P<0.05)、ET群ではCT群より小さかった(例えば、血漿クレアチンキナーゼ活性のピーク値: 例えば、血漿クレアチンキナーゼ活性のピーク:ET、860±688 IU-L-1;CT、2390±1104 IU-L-1;対照、7819±4011 IU-L-1)。
[結論] これらの結果から、非固定腕のETは、固定による悪影響を除去し、固定後の遠心性運動誘発性筋損傷を減弱させるのに有効であることが示された。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前、固定化によって1日何パーセントの筋萎縮が生じるか、を勉強した。
その結論としては健常者の大腿四頭筋で1日0.3-0.5%の筋萎縮が生じるという。
1日で、である。
固定化による弊害を、その固定期間中にどのように保護できるか、は理学療法士にとって重要な課題である。
今回の論文は、まさにその部分に光を与えてくれた。
非固定側を鍛えることで、固定側の保護効果が得られる。
さらに、鍛え方としては遠心性収縮がよし、という介入の方向性まで与えてくれた。
なんと実用的な研究だろう!
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