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【オサムとアトムと】「エジプト陰謀団の秘密」クレオパトラと結婚!?

「エジプト陰謀団の秘密」は、1959年4月号から8月号に連載されました。

手塚治虫先生は「アトムの物語には、かなりの出来不出来がありまして」と語っていますが、この作品は「とても出来のいい作品」だと思います。とにかく手塚先生が楽しんで描いている様子が、とてもダイレクトに伝わってくるのです。

エジプト陰謀団のバリバリ―博士は、地球を支配するためにロボットのクレオパトラを造ります。アトムと陰謀団との闘いが繰り広げられます。

話の詳しい内容よりも、印象深いシーンを挙げて、紹介させて頂きます。

扉絵は、ヒゲオヤジが乗っている夜行列車を俯瞰で眺めている何ともスタイリッシュな構図です。

ヒゲオヤジが、襲って来た暴漢たちを、次から次へと列車の屋根から投げ飛ばします。カーブを曲がりながら進む列車と空に浮かぶ三日月を背景に、勢いよく暴漢を投げ飛ばすヒゲオヤジ。気持ちがいい。


容赦なく迫ってくる敵のメカ「スカラベ」、フンコロガシですね。昆虫好きの手塚先生らしいアイディアの造形美です。


4体の巨大ロボットが、クレオパトラを日本へと運んでいきます。4体が組み合わさって飛んで行く姿の斬新なこと。ロボットが2体、3体と組み合わさって飛行するのは珍しくはありませんが、このスタイルは他では見た記憶がありません。手塚先生の独創性の見事さですね。


魚型の水中ロボットの群れ。生物とメカの融合した見事なスタイルに思わず見惚れてしまうのと同時に、その数の多さ、描きこみに圧倒されます。


水中に整然と並ぶ巨大ロボット。不気味ですが美しい。


この作品では、何と天馬博士が登場します。
そして自分のかつての過ちを話して、クレオパトラを説得します。
(手塚先生の、この作品への力の入れようがわかります。)


クレオパトラは、バリバリ―博士を道連れに自爆します。


自分自身の過去の過ちを悔いている天馬博士は、アトムに別れを告げます。



さて最初に書いたように、「エジプト陰謀団の秘密」は、1959年4月号から8月号に連載されました。

そして手塚先生は、同じ年の10月に悦子夫人と結婚されました。
とてもお美しい方ですね。

手塚先生は、気の強い鉄火肌の女性が好みのタイプだったそうで、奥様もそういう方に違いないと思っていたそうです。(結婚してみたら、実際はそうではなかったと仰っておられますが)

クレオパトラも、気の強い鉄火肌の女性ですね。
手塚先生は「エジプト陰謀団の秘密」の執筆中は悦子夫人と交際中で、結婚生活を夢見ながら描いていたわけです。

それはそれは、描くのが楽しくて仕方なかった事でしょう。

冒頭で、手塚先生の「アトムにはかなりの出来不出来がありまして」という発言を紹介しましたが、「出来不出来」は手塚先生自身の置かれている状態、メンタル的な状況等に大いに左右されているようです。

その点、この「エジプト陰謀団の秘密」が、「とても出来のいい作品」となったのは、悦子夫人の存在が大きかったのは間違いないことでしょう。

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