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お題 ほんの一部スイカ

『バチンッ!!』

 猿が囲炉裏の前に座るや否や、灰の中から熱々に焼けた栗が飛び出して来た。

「アチチチチ!」

 栗によって胸元の毛と皮膚を焼かれた猿は慌てて水瓶へと駆け寄った。急ぎ水瓶の蓋を開けると待っていたのは冷たい水ではなく1匹の蜂。蜂は猿の両手をすり抜け瞼へとその尾の針を突き刺した。

「イタタタタ! こりゃたまらん」

 蜂の一撃に加え追い詰められ視野が狭くなっていた猿は、屋外に出た一歩目を地べたに構えていた牛の糞に攫われ、強かに腰を打った。

 その衝撃が猿の全身に伝わる前に、間髪入れず屋根に待機していた臼がその巨体を猿の上空へと投げ出した。

『ドスンッ!!』

「仕留めたかっ!?」スイカが叫んだ。

「今だっ! かかれーっ!」

 子蟹の号令で蟹の大軍が臼に潰されている猿の体を切り刻んだ。

「参った! 勘弁してくれ! もう悪いことはしないよ!」

 こうして子蟹は母蟹の敵を討ち、猿を反省させましたとさ。めでたしめでたし。


了 (401字)

 
 


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