![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172052179/rectangle_large_type_2_36d1321831e0dafea313774834737139.jpeg?width=1200)
『二哈和他的白猫師尊』三巻・感想
タイトル画像は『二哈和他的白猫師尊』三巻・表紙の一部。
『二哈和他的白猫師尊』三巻、読みました。
一・二巻の時は、Amazonとか通販でしか売ってないようだったので、今回もネットで注文したんだけど、先日よく行く書店(前回の発売日に行って、「ありません」と言われた所)へ行ったら、一〜三巻が何冊も置いてあった。多分、私以外にも何件か問い合わせがあったんだろうなあ。これならここで買えばよかった、とちょっと思った。
さて。とりあえず、ネタバレは極力無しの方向で、感想などを。
三巻に来てようやく(それまでも少しくらいはあったけど)、何度か犬や猫に主人公たちを喩える描写が出てきて、タイトルの意味がはっきりしてきた。
『二哈(ハスキー)和(と)他的(彼の)白猫師尊(師匠)』っていうタイトルだけど、「二哈(ハスキー犬)」は要するに「頭の悪い犬」みたいな感じかな。「白猫」は「ツンとお高くとまった感じ」だと思う。
前者が墨燃、後者が楚晩寧で、墨燃は楚晩寧の三番目の弟子。
このハスキーと白猫のイメージを持つ二人が主人公なんだけど、一巻の時点ではどっちも感じが悪かった。犬や猫のイメージも弱いし、これじゃ感情移入もできない、どうしようと思うくらいだったんだけど、少しずつ二人の様子が変化してきて、三巻目にしてやっとBLらしくなってきたかな。
私のイメージでは、両者とも野良で人を見ると噛みついたり引っ掻いたりばっかりだったのが、少しは人慣れしてきて可愛いところも見せるようになった、みたいな。
BL部分に関しても、最初のうちは性描写はあっても恋愛要素がないんだよね。なので、気が入っていかない。(『千秋』も似たようなところがある。こっちは性描写じゃないけど、主人公を虐待しているとしか思えない状況から始まってる。)
これはアレかな、中国のBL作家は日本の昔のBL(『間の楔』とか山藍紫姫子が書いてたような時代)の影響を受けているらしいので、その所為かな。
それか、そういうのは書きたいんだけど中国は検閲があるから、「これは恋愛じゃないですよ」と取り敢えず言っとこう、みたいなことかな。
いずれにしても、日本の作家は制限無しで書いてるから、なんて言うか、関係性がもっとベタベタしてるんだけど、妙に乾燥してカラカラなんだよね。湿っぽさがない。
お国柄かなあ。私は「恋愛」が読みたいんで、性描写が見たいわけじゃないから、「う〜ん」ってずっと唸ってた。
例によって、中国名が覚えにくくて(いつもの如く同じ人を、本名で呼んだり、字名で呼んだり、号で呼んだりするし)、私は一・二巻を去年の12月頭に手に入れて読んだから、あれから二ヶ月も経っていないのに、誰が誰だかさっぱり思い出せなくなっていた。
脇役が特に誰が誰だかさっぱり。チョイ役かと思いきや、ずっと後になってから何度も出てきて、「もっとしっかり読んでおくんだった」ってなった。
で、物語の部分も読んでるうちに少しずつ思い出してはきたけど、かなり複雑なストーリー。
やっぱり最低二度は読まないと、理解できない気がする。
ただ、一・二巻の時もそうだったけど、別紙で「登場人物表」が付いているんで、見返すのにこれは便利。一々冒頭の説明に戻らなくていいから。
それと「お品書き」もまた付いてた。作品中の料理の説明。中国料理は名前が料理の材料や調理方法になっているから、名前だけである程度の見当はつくけど、あったほうが便利なのも確か。
(余談。私は大学が「食物科」だったんだけど、その時の中国料理の試験が「漢字で書かれた中国料理をどんな料理か説明しなさい」っていうもので、国語の試験みたいだったのを思い出した。ちなみに、中華料理と中国料理は違う物。中国料理はその字のとおり本場中国の料理のことだけど、中華料理は日本に来てから日本人の口に合うようにアレンジされた物。日本人は魔改造が好きだから、全然別物になってたりする。)
『二哈和他的白猫師尊』は『魔道祖師』とかと同じ「修真界(仙人になるための修行をしている人たちの世界)」の話なので、こちらに馴染みがあると少しは理解しやすいかも。
多少、細部の設定が違ってるところもあるけど。
私は、『天官賜福』や『魔道祖師』で曖昧だった部分が説明されていて、「ああ、なるほど」となった部分もあった。あるいは逆に話がごっちゃになって、特にチョイ役の人とかは「これ、あのエピソードか……否、あれは別の話だっけ?」ってなっちゃったりもしたけど(似たような世界の話を好んで観たり読んだりしている弊害)。
ツンデレっぽい楚晩寧が、何故か墨燃に熱を上げてるんだよなあ。墨燃は、『天官賜福』の花城みたいなわかりやすいスパダリではないので、どこが気に入ったかわかりにくい。でも、とにかく相当好きらしい。なのに、彼は自分の気持ちを見せない(弱みを見せない)人なので、ツンはあってもデレが無い。
それじゃ墨燃もさっぱりわからないよね(特に頭の悪い犬だから)、というわけで、二人の距離は一向に縮まっていなかったのだけど、三巻のとある大事件(死者が何人も出るような、本当の大事件)をきっかけに、ひたすら態度の悪かった(憎んでさえいた)墨燃が師尊の本当の姿を知って改心したこともあって、今はじゃれつく犬くらいにはなってきてる。
楚晩寧の方は完全に恋愛感情なんだけど、まだ墨燃はそこまでじゃない……っていうか、自分でもわかっていない感じ? 気はあるのに「師尊だから、そんなことしちゃいけない」って思ってるような。
墨燃は転生(って言うか、タイムスリップ? 死んだ後、過去に戻ってやり直し、みたいなこと)しているようなんだけど、前世ではさんざヤってたのに、三巻へ来て「しちゃいけない」と急に思い始めるのが変だ。
それがまあ、「改心した」ってことなんだけど。
あと、脚注を見ると、作者はかなりダジャレが好きな人のようなんだけど、こっちは説明されて「へえ、そうなんだ」って言ってる状態だから、ちっとも笑えないのがつらいところ。
中国の人は原文を読んで、クスッと笑ったりしてるんだろうなあ。
ちなみに、作者は「肉包不吃肉」という人だけど、日本のファンの間では「肉まん先生」と呼ばれているらしい。
とまあ、こんなところですか。
四巻まで読んで、その後、もう一度最初から読み返したら、もっとちゃんとした感想が書けると思うけど、今の段階ではこのぐらいの曖昧しか言えない。
翻訳家のせいかもしれないけど、妙に硬い話のように見えるので、ちょいと気合を入れて読まないといけないと思う。ダラダラ読むと、話がわからなくなってしまいそう。
物語自体は謎も深まって面白くなってきたので、私は次巻を楽しみにしている。
(余談2。『二哈和他的白猫師尊』は漢字ばかりで書きにくいので、今まではコピペしてたんだけど、何度も書くことになったからとうとう辞書登録して、「はすきー」と打つと「二哈和他的白猫師尊」が出てくるようにしちゃった。)
いいなと思ったら応援しよう!
![かんちゃ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151449065/profile_3ed869cb31387c8346dddc49c6ea91d8.png?width=600&crop=1:1,smart)