マガジンのカバー画像

『魔道祖師・脇役列伝』

55
『魔道祖師』の脇役にスポットを当てた記事です。アニメや小説を一度見た人向け。現在の連載は「藍思追」。毎週不定期更新です。合間に考察・感想記事も書いてます。
運営しているクリエイター

#温寧

『魔道祖師・脇役列伝』 <目次>

(タイトル画像はアニメ『魔道祖師』完結編の日本語版OPより)  マガジンの頁が増えてきたので、探しやすいように目次をつけておきます。各項目の簡単な説明も合わせて、お目当ての記事を見つけてください。 ◉脇役列伝:連載開始にあたって ◎藍思追 [1]莫家荘編 ー左腕の邪祟との遭遇ー  (小説1巻「第二章 荒狂」より)  1 2 3  <関連記事>   ◉辟穀   ◉魏無羨の復活 [2]大梵山編 ー舞天女との戦いー  (小説1巻「第三章 驕倣」より)  1 2 3  <関連

◎脇役列伝その1:藍思追(8)

 『魔道祖師』4巻「第二十三章 忘羨」の冒頭。  雲萍城・観音廟を黙って出てきた魏無羨は林檎ちゃん(魏無羨のロバ)に乗り、藍忘機と共にまだ行き先も決めずに歩いている。  二ページ目。藍忘機が「魏嬰(魏無羨の本名)」「ずっと君に黙っていたことがある」と切り出した時、二人の背後から急いで走ってくる足音が聞こえてきた。  追って来たのは、藍思追と温寧だ。  思追は息せき切って彼らの元まで走ってくる。  魏無羨が「俺は含光君(藍忘機の号)と駆け落ちしようとしてるところだっていうのに

◉金凌の字[あざな]

 金凌について、この「脇役列伝」の連載で取り上げるかどうかは微妙なところだ。藍思追などよりは、はるかに物語に関わっているし、魏無羨との因縁も深い。  主要キャラと言えば言えるが、一方で脇の役柄であることも確かだ。ここで取り上げるとしても、かなり後の方になってくるだろうと思っている。  しかし。「第十九章 丹心」には、金凌の心情を表す重要なシーンがある。「藍思追(6ー9)」で取り上げた船の中のシーンだ。  温寧を目の前にして、父親の仇であると同時に伏魔洞で彼の命を守った恩人で

◎脇役列伝その1:藍思追(6ー8)

[◎脇役列伝その1:藍思追(6ー7)の続き]  乱葬崗を下り、夷陵から船で雲夢江氏の拠点・蓮花塢へ向かう一行。  藍思追が酷い船酔いに悩まされている中、いつの間にか水に浸かりながら船体に張り付いていた温寧が、甲板へと上がってきた。  温寧は思追の顔を見据え、彼に近づいてくる。  少し原文を書き出してみよう。  「藍願」と「藍苑」、同じ読みだが文字が違う。これは、思追は自分の名を「願」だと思っているのに対して、温寧は「苑」という名に心当たりがあるからだ。温寧は思っている、「

◉心を尽くせば、心が返る

 いつもはまず藍思追の記事を書いてから、振り返って魏無羨や藍忘機のことを書くのだけれど、場面が場面なだけにウズウズして居た堪れないので、先に彼らのことを書く。  小説だと3巻「第十九章 丹心<二>」前半、アニメだと完結編「九話 捧ぐ丹心」の終わり頃から「十話 憎しみに生きて」中盤までの辺り。  第二波の凶屍の群れに対抗するため、魏無羨が自分の衣を召陰旗(死者を誘き寄せる的旗)にして、全ての凶屍の標的を自分自身にすることで、皆を逃がそうとする作戦を考え、実行する場面だ。  こ

◎脇役列伝その1:藍思追(2−3)

(画像はアニメ『魔道祖師』前塵編二話より 莫玄羽を心配する蘭思追) (◎脇役列伝その1:藍思追(2−2)の続き)  失魂者たちは天女像に願い事をした結果、それを叶える代償に魂魄を吸い取られたと考えられ、既に金凌や多くの修士たちも、その標的にされていることが判明した。  莫玄羽(魏無羨)の乗っていたロバが、いきなり足を止め、逆方向へ走り出そうとする。ロバに振り落とされた莫玄羽(魏無羨)が手綱を引っ張った時、前方から「ガジガジ」「ゴクゴク」という音が聞こえてきた。見れば、伏せ