薬草・薬樹デビュー30 コブシ、ハクモクレン② 生薬名 辛夷 性質 温 味 苦
佐藤潤平「家庭で使える薬になる植物Ⅲ」より
コブシ
諸国の山地の林中に広く自生する落葉高木で、樹高20メートル、幹径60センチに達し、早春いまだ万木が眠っているとき、大きな木に純白の大きな花を一面につける満開時の風景は実に見事なもので、遠くからでもはっきりと浮かんで見える。
前年枝は灰褐色、節部は斜めに環線あり、当年枝は濃緑色で無毛。
花芽は大きく長卵形でビロード状の毛を密生し、長さ1.7センチ、幅7ミリ。毛筆の形をしているので、中国では筆の穂「木筆」と呼ぶこともある。
春3月頃新葉がでるよりも早く開花し、花は白色、芳香がある。
種子は腎臓形で黒色を呈し、1果に15~30個あり、径11~13ミリである。
花は芳香があり、香水の原料となる。蕾、、樹皮、枝葉ともに精油を含有し、コブシ油と称する。
その主成分はシラトール、オイゲノールなど、また、樹皮にはアルカロイド・マグノクラリンを含む。
コブシという日本名は冬芽が子供のこぶし(拳)に似ていることから出たものである。
コブシは日本特産のものであるから、漢名はない。
かつて漢薬の辛夷(しんい)をこの植物の蕾に充てたことがあったが、誤りである。しかし、辛夷の原植物もコブシも共にモクレン属植物であり、このほか、
日本に自生するキタコブシ、タムシバ、シデコブシ、などの花蕾はよく似た形態で、同様の薬効が期待できるかもしれない。
しかし、この精油成分には多少の違いがある。
ハクモクレン
中国原産の落葉高木で、庭園に植えられる。高さ5~6メートル、幹は直立して分枝さる。
2~3月頃、葉に先んじて大形の白花を枝端につけ、12~15センチの鐘形の花を開き、香りが高い。倒卵形で、長さ7センチ位の花被片は9個で2列生、うち萼片3、花弁6。しかし同質同形で区別がつかない。
果実は長くのびて10センチぐらい。袋果は大きく熟すれば開裂して赤色の種子を懸垂する。
モクレン(シモクレン、木蘭)
もまた 中国中部原産のもので、わが国で古くから栽植されている。萼片は花弁より著しく短く幅も極めて狭く、花は紫色である。
トウモクレン
も栽培品で樹高が低く萼片の幅はさらに狭く4ミリほどである。
これらの花蕾は辛夷と称し、中国では薬用としている。
薬効
これらモクレン属のつぼみをとって乾燥し、一日に2~5グラム煎じて飲めば、鼻カタル、蓄膿症、頭痛、高血圧、瘡毒などに効がある。
また、葛根湯などに加えて使うとさらに効がある。
特に蓄膿症の治療に卓効を奏することがあるとされている。
漢方においては辛夷を発散、興奮、排膿薬として、頭痛、頭痛を伴う
鼻炎、蓄膿症および老衰などに応用する。
コブシ、モクレン蕾 薬効
風邪の症状・鼻づまり。
鎮静、鎮痛薬として、頭痛、頭重感特に鼻炎、蓄膿症などに応用します。
[薬効】…発散作用 排膿作用
【薬理作用】…芳香性です。頭痛・頭重を伴う鼻炎・慢性副鼻腔炎に良いです。筋弛緩作用、抗アレルギー作用。
【用途】…鎮静、鎮痛薬として、頭痛、頭重感特に鼻炎、蓄膿症などに応用する。
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